【第3回マモリクラブ人事会レポート】人事・採用の「他社はどうしてる?」が気軽に聞ける交流会|10/28(火)東京開催分
2025年10月28日(火)、東京にて「第3回マモリクラブ人事会」が開催されました。
本イベントは、他社の人事・採用担当者がどのような取り組みを行っているのか、現場のリアルな悩みや成功事例を気軽に共有できる場として企画されました。
当日は、IT、学校法人、運輸、イベント制作など多様な業種から人事・労務担当者の皆様にご参加いただき、リラックスした雰囲気の中で活発な情報交換が行われました。
本レポートでは、当日のセッション内容をダイジェストでご紹介します。
■マモリクラブ人事会とは

人事のリスク回避や課題解決に役立つ実践的な知識と他社事例を学び、交流する場です。
ネットでは見つからないリアルな情報を共有し、会社の守備力を強くする。参加者自身のキャリアアップにも繋げてもらうために開催しています。
■なぜ今、「離職防止」が経営課題なのか?
従業員の離職、特に中核となる人材の流出は、単なる「人員の欠員」という問題だけでなく、採用・教育コストの増大、ノウハウの流出、残された従業員の士気低下や業務負荷の増大といった形で、企業経営に深刻な影響を及ぼします。
「人が辞めるのは仕方ない」「また新しく採用すればいい」といった考えで、場当たり的な欠員補充を繰り返していると、離職の連鎖を断ち切れず、採用市場での評判悪化や組織力の低下といった、取り返しのつかない事態に発展しかねません。
本イベントでは、「離職防止」という共通の課題を持つ経営者・担当者の皆様による交流の場として開催しました。 各社が直面しているリアルな悩みや、すでに取り組んでいる具体的な事例、工夫している点などについて、参加者同士で活発なディスカッションを行うことで、明日から自社で実践できる「定着」のためのヒントまで、貴重な知見を交換する場となりました。

【第1部】【事例紹介】離職率30%からのV字回復
第1部では、Webマーケティングツール「ferret」などを展開する株式会社ベーシックの人事担当・川前様にご登壇いただき、かつて30%近かった離職率を約10%にまで改善させた具体的な施策について、現場のリアルな声とともにお話しいただきました。また、マモリノジダイに掲載されている「従業員の離職理由や離職対策に関する調査」の結果を見ながら離職防止の対策について議論しました。
課題:不公平な評価制度とリモート化による孤立
離職率が高かった2018年頃の背景には、上司の主観による評価(いわゆる「えんぴつなめなめ」)が横行し、従業員の間に不公平感が蔓延していたという根深い課題がありました。
さらに、コロナ禍を機にフルリモート体制へ移行したことで、新入社員が職場に馴染めず、コミュニケーション不足から短期離職してしまうという新たな問題も発生しました。
対策:「公平性」と「意図的なコミュニケーション」の創出
これらの課題に対し、同社は「カルチャーの再構築」と「コミュニケーションの仕組み化」を軸に、以下のような多角的な施策を実行されました。
1.評価制度の刷新
「本当に頑張っている人が報われる制度」を掲げ、2019年に評価制度を全面的に刷新。これにより、会社のカルチャーに共感する意欲的な従業員が定着する一方、変化を望まない従業員が離れるという新陳代謝も進みました。
2.リモート下のオンボーディング施策
・ブラシス(ブラザー・シスター)制度: 新入社員に対し、あえて他部署の先輩社員を「ブラシス」として任命。業務上のメンターとは別に、気軽に相談できる「コミュニケーションの架け橋」として機能させ、リモート下での孤立を防ぎました。
・3ヶ月ミッションの設定: 入社後の期待値のズレを防ぐため、最初の3ヶ月間で達成すべきミッションを明確に設定し、定期的な1on1ですり合わせを行っています。
3.全社的な交流の仕掛け
・事業共有会: 月に一度の全社出社日。その後の懇親会ではあえて「くじ引き」で席を決め、部署や役職を超えた意図的な交流の場を創出しています。
・コミュニティ制度: Slack上に、ゲーム、ゴルフ、謎解き、ディズニーなど、共通の趣味でつながる多数のコミュニティチャンネルを作成。業務外の気軽な雑談を促進しています。
・イベント: 年1回のBBQ大会には、150名規模の会社で100名以上(家族・恋人含む)が参加するなど、高い参加率を誇っています。


【第2部】ディスカッション「離職率改善、次の一手は?」
第2部では、ベーシック社の事例を受け、参加者の皆様から自社の課題感に基づいた活発な質疑応答が行われました。
- Q. コミュニケーション活性化は「飲み会」以外に何がある?
- A. (ベーシック社)「BBQ大会」や「趣味のコミュニティ制度」が非常に機能している。特にコミュニティは、Slack上で完結するものも多く、リモート中心の働き方と相性が良い。
- Q. 中途採用の年齢やカルチャーフィットはどう考えている?
- A. (ベーシック社)過去に40代以上の即戦力をヘッドハンティングしたが、カルチャーフィットせず定着しなかった経験がある。現在は35歳くらいまでのポテンシャル層を採用し、自社で育成する方針にシフトしている。
- Q. 「出戻り社員」は歓迎する?
- A. (ベーシック社)非常に歓迎している。他社で経験を積み、客観的な視点を持って戻ってきてくれるのは会社にとって大きな資産。直近半年で5名の実績があり、良い循環が生まれている。

【第3部】人事課題の共有と交流会
ディスカッションの熱気そのままに、フリー交流会へ移行しました。「入社後のギャップをどう埋めるか」「ネガティブ情報をどこまで開示するか」「評価制度の納得感をどう醸成するか」など、各社が抱えるリアルな悩みについて、グループに分かれて深い議論が交わされました。
特に、リモートワーク下での新入社員の定着(オンボーディング)や、中途採用者のカルチャーフィットは各社共通の課題となっており、ベーシック社の「ブラシス制度」や「3ヶ月ミッション」といった具体的な施策に強い関心が集まりました。

■まとめ
今回の人事会では、株式会社ベーシック様の具体的な成功事例と、それに対する参加者の皆様の率直な質疑応答を通じて、「離職率改善」というテーマを多角的に掘り下げました。
評価制度という「ハード面」の改革と、コミュニケーション施策という「ソフト面」の充実。この両輪を粘り強く回し続けることが、従業員の定着とエンゲージメント向上に不可欠であることを再確認できる、非常に有意義な時間となりました。
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