SNS採用とは?特徴・成功事例・運用のポイントを中小企業向けにわかりやすく解説
企業の採用活動において、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の活用が急速に広がっています。
中小企業にとっても、求人広告に頼らず、自社の文化や働く人の雰囲気をダイレクトに伝えられるSNS採用は、有力な選択肢のひとつです。しかし一方で、「炎上リスクが心配」「どのSNSをどう活用すればよいか分からない」といった声も少なくありません。
本記事では、SNS採用の定義やメリット・デメリットをはじめ、SNS別の特徴、実際の企業事例、運用のポイントまで、中小企業でも実践できる形でわかりやすく解説します。
また以下の資料では中小企業の人事担当の方に向けて、中小企業566社にアンケートを取って分かった「従業員の離職理由」を紹介していますので、こちらも参考にしてください。
目次
SNS採用とは?注目される背景と採用市場の変化
新卒・中途を問わず、採用市場は近年大きな変化を迎えています。従来の求人広告や人材紹介といった手法だけでは、十分な母集団を形成できないという課題を抱える企業も少なくありません。
特に若年層においては、企業選びの際に求人媒体よりもSNSを参考にする傾向が強まっています。情報収集の早期段階からSNSを通じて企業の雰囲気や働き方に触れ、共感や親しみを持った上で応募に至るケースも増えている状況です。
こうした変化に対応するため、企業が公式SNSアカウントを活用して、自社の魅力や社員の様子、働く環境などを発信する「SNS採用」が注目されています。
SNS採用の定義と従来手法との違い
SNS採用は、企業の情報をSNSを通じて継続的に発信し、求職者との関係を構築しながら採用へとつなげるアプローチです。従来の採用手法と比較すると、情報の届け方や接点の持ち方に大きな違いがあります。
以下の表で、SNS採用と従来手法の主な違いをわかりやすく整理しました。
| 項目 | SNS採用 | 従来の採用手法 |
| 情報の発信手段 | Instagram・X・TikTokなどのSNS投稿 | 求人媒体・採用ページ・人材紹介会社など |
| 情報発信のタイミング | 継続的・日常的な発信 | 募集時期に限定されがち |
| 発信内容の性質 | 社員の声・働く様子・職場の雰囲気など「日常発信」 | 仕事内容・募集要項など「公式情報」中心 |
| 対象とする求職者層 | 潜在層・情報収集中層へのアプローチが可能 | 顕在層(すぐに転職・就職したい層)中心 |
| 双方向コミュニケーション | コメントやDMを通じたやり取りが可能 | 基本的に一方通行の情報提供 |
| コスト | 無料〜低コストで運用可能 | 広告費や紹介手数料など高コストになりがち |
SNS採用は、企業の文化や価値観に共感してもらうことを目的にした“採用ブランディング”の側面が強く、特に若年層に対しては有効な手段といえます。一方で、短期的な採用成果にはつながりにくいため、従来手法と併用しながら中長期的に取り組む姿勢が重要です。
SNS採用のメリット・デメリットを知ろう!
SNS採用は、求人広告などの一方的な情報発信ではなく、SNSという生活に密着したチャネルを使って求職者とつながる施策です。
以下では、そのメリット・デメリットを具体的に整理していきます。
SNS採用には豊富なメリットがある
まずはSNS採用のメリットについて、一つずつ紹介しましょう。
拡散力があり、企業認知の拡大に寄与する
SNSは、ユーザーが投稿をシェア・リポストすることで情報が瞬時に広がる「拡散力」が大きな強みです。特にInstagramやX(旧Twitter)では、投稿がバズることで企業名や職場環境、社風が広く知られるきっかけになります。
これまで採用広報の対象外だった層にも情報が届くため、「知らなかった企業を初めて知って応募した」といった新たな出会いを生む可能性があります。
潜在層・情報収集中の求職者にアプローチできる
求人媒体では主に「今すぐ転職したい層」にしかリーチできません。しかし、SNSでは「いつか転職したい」「なんとなく良い会社があれば…」と考えている潜在層に訴求できます。
日常的にフォロー・閲覧してもらうことで、接触頻度を高め、ゆるやかに興味を醸成することが可能です。特にZ世代を中心とした若年層は、SNSを使って企業の雰囲気や実態を探る傾向が強く、ここにSNS採用の優位性があります。
投稿の作成・発信が比較的容易で属人化しにくい
社内にSNS運用ルールと投稿テンプレートを整備すれば、採用担当者以外のメンバーもコンテンツ制作に関われる体制が築けます。
たとえば、若手社員による「ある一日の仕事紹介」や「新入社員の自己紹介投稿」などは、本人の視点で書くことでリアリティを持たせつつ、制作負荷も抑えられることが魅力です。属人化せず、チームで運用する文化づくりにもつながります。
広告なしでも無料〜低コストで始められる
SNSはアカウント開設・投稿自体は無料で行えるため、初期投資を抑えながら採用広報を始めることが可能です。ノーコストでできる範囲でも工夫次第で成果を出せるため、広告予算が限られている中小企業でも導入しやすいのが特徴といえます。
また、広告運用を組み合わせることで、必要に応じてターゲット層へのリーチを強化することも可能です。
企業カルチャーや働く人の雰囲気が伝えやすい
職場の空気感や社員の人柄など、文字情報だけでは伝わりにくい「感覚的な魅力」も、写真や動画、ストーリーズなどのビジュアルコンテンツを通して表現できます。
特にInstagramやTikTokでは、オフィスの雰囲気、イベントの様子、社員同士の関係性などが自然に伝わるため、応募前の“リアルな印象”形成に寄与することが特徴です。
参考記事:【中小企業向け】タレントマネジメントとは?導入メリット・成功事例・実践ステップを解説
応募前の態度変容(興味喚起〜共感)を促せる
求人広告を見て即応募する求職者は限られます。しかし、SNSを通じて定期的に企業の価値観や働き方に触れることで、「この会社いいな」「自分に合っていそう」といった共感が生まれやすくなることが強みです。
SNS採用のデメリットも理解しておこう
一方で、SNS採用にはデメリットもあります。以下の点に注意しながら進めましょう。
効果が出るまでに時間がかかりやすい
SNS採用は、短期間で応募者を集める“即効性”にはやや不向きです。定期的な発信とフォロワーの積み上げによって徐々に効果が出てくる「中長期視点の施策」であるため、初期段階では成果が見えにくいという課題があります。
1〜3か月で効果を期待するよりも、半年〜1年かけて認知と関係性を育てる戦略が重要です。
炎上や誤解による企業イメージ低下のリスクがある
SNSは公開性が高いため、ちょっとした投稿の言葉選びや写真の背景に意図しない情報が含まれているだけで、「不適切」「ズレている」と炎上する可能性があります。
特に人材採用のようなセンシティブな領域では、投稿前のダブルチェック体制やリスク想定が不可欠です。社員のSNS活用ポリシーを定めておくことも効果的になります。
投稿内容や頻度の維持に一定の工数が必要
継続的な運用には、企画立案・素材収集・撮影・ライティング・編集・投稿管理といった工程が発生し、一定の社内リソースを要するものです。月に数本程度であっても、社内の協力体制がなければ運用がストップしがちといえます。
事前にスケジュールと体制を整え、無理のない頻度で続けられる仕組みづくりが欠かせません。
採用マーケティングの知見が必要になる
SNS採用は、単なる広報ではなく「求職者に応募という行動を促すマーケティング」の一種です。ターゲット設計、ペルソナ設定、訴求ポイントの明確化、KPI管理など、採用マーケティングの考え方を理解し、投稿内容に反映させるスキルが求められます。
初めて取り組む企業にとっては、この部分が大きなハードルです。
短期での採用成果につなげるには限界がある
SNS採用は中長期的なブランディング型手法であるため、「今すぐ1名採用したい」といったピンポイントなニーズには向きません。採用計画の全体像の中で、求人媒体・スカウト・社員紹介などの他手法と組み合わせることで、より効果的な活用が可能です。
SNS採用単体での完結を目指すのではなく、あくまで“母集団形成や興味喚起の一環”として捉える必要があります。
SNS別の特徴と採用活用法
SNS採用を効果的に進めるには、以下の表のようにそれぞれのSNSプラットフォームが持つ特性を理解し、ターゲット層や採用目的に応じた使い分けが重要です。
| SNS | 向いているケース |
| 職場の雰囲気や社風を「視覚的」に伝えたいなら最優先 | |
| X(旧Twitter) | 候補者との距離を縮め、認知度を広げたいなら |
| TikTok | 「楽しそうな職場」を直感的にアピールしたいなら |
| LINE | 応募導線の整備や、説明会等の歩留まりを改善したいなら |
| YouTube | 社長の想いや具体的な業務内容を深く理解してほしいなら |
| Wantedly | 給与などの条件ではなく「理念への共感」で集めたいなら |
| 地方での採用や、ベテラン・シニア層へアプローチしたいなら | |
| ハイレイヤー・専門職・グローバル人材を狙うなら |
以下では主要なSNSごとに、採用への活用方法や特徴を詳しく見ていきましょう。
参考記事:リテンションとは?意味・目的・リスク・施策事例をわかりやすく解説
Instagram:ビジュアルで企業文化を伝える
Instagramは画像や動画を中心としたビジュアル重視のSNSです。職場の雰囲気や働く社員の姿、オフィス環境、イベントの様子など「言葉では伝えづらい空気感」をビジュアルで伝えるのに最適だといえます。
特にZ世代・ミレニアル世代のユーザーが多く、世界観や雰囲気に共感して応募を決めるケースも少なくありません。ストーリーズやリール、ハイライト機能を活用することで、日常的な接触やシリーズ化された発信が可能になります。
X(旧Twitter):スピード感ある広報と拡散
Xは短文投稿によるリアルタイム性・速報性に優れ、採用イベントの告知や社員紹介、ニュース発信などに活用されています。リポスト(旧リツイート)機能により情報が広く拡散されやすく、採用ブランディングや「中の人によるゆるい発信」で親近感を得る企業も多いです。
カジュアルな言葉選びで人柄を出せる一方、炎上リスクもあるため投稿内容には慎重さが求められます。
TikTok:短尺動画による若年層リーチ
TikTokは15秒〜1分程度の短尺動画が中心のSNSで、若年層への認知拡大に非常に効果的です。企業紹介をラップやダンスで表現したり、社員の一日密着動画などをユニークに編集することで、多くの再生回数を獲得する事例も増えています。
特に「楽しそうな職場」「個性的な先輩社員」など、感覚的な魅力が伝わりやすく、応募前の態度変容につながりやすいメディアです。
LINE:説明会・応募フローと連携しやすい
LINEは日本での利用率が非常に高く、特に学生や若年層との“連絡手段”として有効です。LINE公式アカウントを活用することで、説明会案内・リマインド・エントリー情報の配信など、応募導線の強化が可能になります。
チャットボットを連携すれば、自動応答で情報提供を行うこともでき、効率的な母集団形成に貢献が可能です。
YouTube:職場紹介・社長メッセージなどの深掘り動画
YouTubeは長尺動画による「深い情報発信」に適しています。オフィスツアーや仕事内容の解説、社員インタビュー、代表メッセージなど、文章や写真では伝わりにくい“温度感”をダイレクトに伝えることが可能です。
採用サイトに埋め込む形で使用されるケースも多く、応募前の不安や疑問を払拭する材料として機能します。
Wantedly:採用ブランディングと相性が良い共感型プラットフォーム
Wantedlyは「共感採用」「ミッションドリブンな人材獲得」に特化したSNS型の採用プラットフォームです。求人の条件だけでなく、「どんな思いでこの事業に取り組んでいるのか」「どんなチームと働けるのか」といったストーリー性が重要視されます。
スタートアップやベンチャー企業との親和性が高く、スカウト機能も活用されている状況です。
Facebook:地方中小企業やシニア層への接触に強み
Facebookは他SNSに比べてユーザー層がやや高めで、特に地方圏やシニア層へのアプローチに向いています。
地域密着型の採用や、ベテラン人材の採用を狙う中小企業が活用することで、意外な層との接点を得られることもメリットです。地域イベントへの参加報告や地元社員の紹介など、親しみや信頼を得る発信が有効といえます。
LinkedIn:グローバル人材やハイレイヤー人材の獲得に有効
LinkedInはビジネス特化型SNSで、特に海外人材や管理職・専門職層とのネットワーキングが強みです。英語による発信や、企業のビジョン・カルチャー・成長戦略などを丁寧に打ち出すことで、意識の高いプロフェッショナル層からの反応を得やすくなります。
日本では利用者が限定されますが、グローバル採用やダイレクトリクルーティングにおいては欠かせないプラットフォームです。
SNS採用アカウント運用の設計ポイント
SNS採用を成功させるには、単にアカウントを開設して投稿を始めるだけでは不十分といえます。
戦略的に運用設計を行い、採用コンセプトから投稿体制・KPIまでを整えることで、継続的な成果につなげることが可能です。以下では、アカウント運用の核となる4つの設計ポイントを解説します。
採用コンセプトと発信軸の決め方
まず最初に重要なのが、「どんな人に、どんな印象を持ってもらいたいか」を定める採用コンセプトの設計です。たとえば「成長志向の若手を引きつけたい」「地域密着のアットホームな職場をアピールしたい」など、訴求すべき価値やイメージを言語化することが出発点になります。
そこから導かれる「発信軸(=主な投稿テーマ)」も明確にしましょう。
たとえば、社員紹介・働き方・福利厚生・イベントレポートなどは、日々の投稿がぶれないための判断基準です。コンセプトと発信軸を明文化しておくことで、運用メンバー間の認識も統一されやすくなります。
ペルソナ設計と訴求メッセージの整理
SNS採用では、求める人材像(ペルソナ)を明確にし、その人物が「どんな価値観や悩みを持っているか」に寄り添った発信が重要です。たとえば「自己成長したいが大企業の硬さには不安がある20代後半」など、具体的に想定することで、刺さる投稿の方向性が見えてきます。
加えて、そのペルソナに向けてどんなメッセージを届けたいかを整理しておきましょう。ペルソナとメッセージは運用チーム内で共有しておくべき基礎情報です。
投稿スケジュールとKPI管理
継続的に成果を出すには、投稿頻度・時間帯・コンテンツ種別を計画的に管理する必要があります。たとえば「週3回、月曜は社員紹介、水曜はオフィス紹介、金曜は働き方発信」など、ある程度型化されたスケジュールがあると、属人化を防ぎつつ安定した発信が可能です。
また、インプレッション数やエンゲージメント率、プロフィールクリック数、応募者数などのKPIを定めておくことで、PDCAを回しやすくなります。特に「態度変容の兆し(保存・シェア・いいねなど)」を観察することは、採用マーケティングの質を高めるうえで欠かせません。
投稿・運用を属人化させないチーム設計
SNS採用は「採用担当が1人で全部やる」構造になりがちですが、それでは継続が難しくなります。投稿テーマのアイデア出し・素材提供・文面チェック・分析・改善などを分担できる体制を整え、運用を“チーム業務”として設計することが理想です。
たとえば、社員インタビューの実施は現場リーダー、素材撮影は広報、投稿文案は採用担当、承認はマネージャーが行うなど、役割を明確にしておくとスムーズに回ります。社内wikiや共有スプレッドシートを用いて、運用履歴やルールを残しておくことも属人化防止に有効です。
SNS採用の成功事例
SNSを活用した採用施策は、大手企業だけでなく中小企業においても成果を上げつつあります。従来の求人広告やナビサイトでは伝えきれなかった「現場の雰囲気」や「働く人のリアル」がSNSを通じて可視化され、求職者の共感や応募意欲を高める要因です。
ここでは、SNS採用をうまく取り入れて成果を上げている企業事例を、大手企業・中小企業問わず紹介しましょう。
株式会社サイバーエージェント
サイバーエージェントでは、自社の採用広報にInstagramを積極的に活用している様子がうかがえます。特に、若手社員が登場するコンテンツや、社内プロジェクトの裏側を紹介する投稿が多く見られるのが特徴です。
実際に活躍する社員の表情や声を通じて、同社のチャレンジングで自由なカルチャーを伝えるよう設計されていると見られ、就職活動中の学生や転職希望者の関心を集めているとされています。中小企業がマネをするなら、まずは若手社員が働く様子をスマホで撮影し、「会社の日常」として1枚アップすることから始めてみるのがおすすめです。
電通株式会社
電通では、採用専用のInstagramアカウントを運用し、SNSを活用したブランディングに取り組んでいる様子が見て取れます。投稿では、社員の働く様子や社内イベントの風景が紹介されており、職場の雰囲気や価値観を視覚的に伝える工夫がなされているようです。
オフィス紹介にとどまらず、個々の社員のリアルな声を掲載することで、求職者が「この会社で働く自分」を具体的にイメージしやすくする狙いがあると推察されます。中小企業がマネをするなら、会議や休憩中などの「飾らない日常風景」を切り取り、そこに流れる社風を一言添えて発信することから着手してみましょう。
ユニリーバ・ジャパン
ユニリーバ・ジャパンは、X(旧Twitter)・Instagram・Facebookなど複数のSNSを併用した発信に積極的です。なかでもInstagramでは、社員が選ぶ自社製品の紹介などを通じて、製品の魅力と働く人の姿をセットで伝える投稿が見受けられます。
また、SNS上で説明会やインターン情報を定期的に発信するなど、学生との接点拡大に繋げていると見られています。中小企業がマネをするなら、自社製品やサービスを扱う社員の姿とともに、仕事に対する「こだわりや想い」をセットで発信することから始めてみるのが定石です。
SNS採用に外部支援を活用する場合の選び方
SNS採用を内製で完結させるのが難しい企業にとって、外部支援は有効な手段です。しかし、単に「SNSに詳しい会社」に頼めばよいというわけではありません。
SNS採用に特化した支援会社は、戦略設計・日々の投稿運用・広告活用など、支援領域ごとに得意分野が異なります。
参考記事:企業はSNS炎上に備えるべき!10個の事例から学ぶリスクと正しい対応
SNS採用代行のタイプ(戦略設計/運用代行/広告運用)
SNS採用支援には主に3つの型があります。それぞれの支援範囲や成果の見え方が異なるため、目的に応じて使い分けましょう。
| タイプ | 主な内容 | 向いている企業 |
| 戦略設計支援 | ターゲット設定、KPI設計、媒体選定、ペルソナ設計など | SNS採用を初めて行う/目的が定まっていない企業 |
| 運用代行支援 | 投稿作成、スケジューリング、レポート作成などの実務代行 | 人手が不足しており継続運用が難しい企業 |
| 広告運用支援 | SNS広告の設計・配信・効果分析業務 | 応募者数や認知獲得を早期に伸ばしたい企業 |
特に採用広報と広告は性質が異なります。広報は「中長期的な認知・共感の醸成」、広告は「短期的な応募獲得」に強みがあるため、両軸で考えることが重要です。
支援会社を選ぶポイントと比較軸
SNS採用支援会社を選ぶ際は、単に知名度や価格で決めるのではなく、実績や相性、支援体制など多角的な観点で比較検討することが必要です。以下に代表的な比較軸を示します。
| 比較軸 | チェックポイント例 |
| 得意なSNS媒体 | Instagramに強い、Xに強い、TikTok実績がある など |
| 業界実績 | 自社と近い業種・規模での支援経験があるか |
| 支援内容の範囲 | 戦略設計のみ/運用代行/広告配信まで含むか |
| レポート品質 | 定量・定性の両面で成果を報告し、改善提案があるか |
| 契約の柔軟性 | 短期契約が可能か、解約条件は明確か |
また、担当者とのコミュニケーション相性も無視できません。SNS採用は日々の細かな対応やトーンの調整が成果に影響するため、担当の柔軟性や対応スピードも見極めるポイントになります。
社内に残すべき役割/外部に任せるべき役割
SNS採用は、すべてを外注するのではなく、社内に残すべき業務と外部に任せる業務を明確に分けることが成功の鍵です。
企業文化や社員の声といった「内側からしか出せない情報」は社内で担うべきであり、専門性の高い作業は外部に依頼することでバランスの取れた運用が可能になります。
| 項目 | 社内で担うのが望ましい業務 | 外部委託が有効な業務 |
| 採用戦略の最終判断 | 採用方針やターゲット像の確定 | – |
| 社員インタビュー企画 | 実際の社員目線やリアルな現場の声が必要 | 編集・デザインは外注可 |
| 投稿運用 | 初期段階や小規模運用であれば対応可能 | 複数媒体展開や週複数投稿時は外注が有効 |
| SNS広告運用 | – | 媒体特性・成果測定に強い外部委託が適切 |
| KPI分析・改善提案 | 採用全体の戦略との整合性が必要 | データ収集・レポーティングは委託可能 |
外部の専門家はあくまで「手足」として活用し、自社ならではの魅力や採用の軸は必ず社内で保ちましょう。
SNS採用に取り組む中小企業が押さえておきたい注意点
中小企業がSNS採用に取り組む際は、大手企業と同じような手法をそのまま真似するだけでは効果が出にくい場面もあります。
限られたリソースで効果的に成果を出すためには、「SNSならではのリスク」や「発信の質と量のバランス」などを押さえておくことが必要です。以下では、特に重要な3つの観点から解説します。
炎上・誤解リスクとその対策
SNS採用においては、「良かれと思って投稿した内容」が、意図せぬ形で批判を招いたり、企業イメージを損ねたりするリスクが常に伴うものです。特に以下のようなケースが、中小企業では注意すべきポイントとなります。
| リスク内容 | 具体例 | 対策方法 |
| アットホーム演出が誤解を生む | 社員同士のじゃれ合いやイベント風景が「馴れ合い」「パワハラ的」と受け取られることも | アットホーム感は控えめに。仕事のやりがいや業務内容の説明もセットで伝える |
| 顔出し投稿によるプライバシー問題 | 社員本人は同意していても、家族や関係者からの懸念が後から浮上 | 本人だけでなく第三者の配慮も。同意書やモザイク処理、匿名化などで対応 |
| 言葉遣いや演出が不適切 | 軽い冗談・ユーモアが、第三者には「セクハラ」「モラハラ」と取られるケース | 投稿前のダブルチェック体制を整備。NG表現集を社内で共有 |
| 炎上時の初動が遅れる | 指摘コメントを放置して状況が拡大 | 返信テンプレートの用意、担当者への即時エスカレーションルールを決めておく |
対策としては、投稿前に複数人でチェックする体制をつくることが基本です。社内で簡易的な「SNSガイドライン」を整備し、投稿ルールやNG表現の事例を共有しておくことで、属人的な運用から脱却できます。
無理にバズを狙わない「自社らしい発信」
SNS採用において「バズらせる」ことは目的ではありません。むしろ、バズ狙いの発信はターゲットからの共感を得られず、離脱や誤解を招くリスクがあります。
中小企業では特に、身の丈に合った「自社らしさ」を軸にした発信が信頼につながります。
たとえば以下が一例です。
- 地域に根ざした取り組みやイベント風景の紹介
- 社員のリアルな1日の過ごし方やオフィス環境の紹介
- 社長やリーダー層の考えを丁寧に伝える投稿
このようなコンテンツは、派手さはなくても、「応募前に職場の空気感を知っておきたい」という求職者にとって非常に価値ある情報といえます。SNS採用では「映える」よりも「伝わる」を優先すべきという視点が重要です。
他の採用チャネルとの併用が前提
SNS採用は、単体で成果を最大化する手段ではなく、他の採用チャネルと併用することで真価を発揮します。たとえば、SNSで認知・共感を獲得し、最終的な応募は採用サイトや求人媒体に誘導する流れが効果的です。
よくある併用パターンは以下になります。
- Instagram投稿 → リンクツリー → 採用LPへ
- TikTok動画 → 概要欄にエントリーフォームへの導線設置
- X(旧Twitter)のキャンペーン投稿 → 自社の説明会予約ページへ誘導
また、オフライン施策(会社説明会・合同説明会など)との連動も有効です。SNS上で紹介した社員やプロジェクトに、実際にリアルイベントで触れられる導線があると、応募者の動機付けが一段と高まります。
中小企業では、採用チャネルごとの役割分担を意識しましょう。SNSを「認知・共感形成の場」として位置づけることが、運用を持続可能にする鍵となります。
まとめ
SNS採用は、企業の魅力やカルチャーをダイレクトに発信できる手法として、多くの企業で注目されています。特にZ世代を中心とする若年層にリーチしやすく、採用広報の手段として有効です。
ただし、単にSNSを開設するだけでは成果につながりません。発信軸や採用ペルソナを明確にし、投稿内容を継続的にブラッシュアップしながら運用することが重要です。
あわせて、炎上リスクや短期での効果の限界といった課題にも備える必要があります。
SNS採用はあくまで採用手段の一つです。採用サイトやナビ媒体、エージェントなど他のチャネルとの併用も視野に入れながら、自社にとって最適な採用戦略を構築していきましょう。

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