内定辞退はいつまで?メールと電話のどちらで伝えるべき?例文も紹介

「せっかく内定をもらったけれど辞退したい・・・。でも、怒られたらどうしよう」

「電話をするのが怖くて、つい連絡を先延ばしにしてしまっている」

このように、内定辞退の連絡に悩み、重いストレスを感じている人も多いでしょう。

複数の内定を獲得することが一般的になる中で、どのように断りを入れればトラブルにならずに済むのか、その「正解」を知りたいと考えるのは当然のことです。

そこでこの記事では、内定辞退の法的な期限やマナー、電話とメールの使い分け、そしてそのまま使える会話・メールの例文を徹底解説します。

また、記事の後半では、企業側が取るべき内定辞退への対応や、辞退防止策についても触れていきます。

就活生や転職者の方はもちろん、採用担当者の方も、お互いが納得できる円満な解決のために、ぜひ本記事を参考にしてください。

内定辞退とは

内定辞退とは、企業から採用の通知(内定)を受けた応募者が、入社する意思がないことを企業側に伝え、契約の成立前に辞退を申し出る行為のことです。

就職活動や転職活動において、応募者は複数の企業選考を並行して受けることが一般的であるため、結果として複数の企業から内定を得るケースは珍しくありません。

日本国憲法には「職業選択の自由」が定められており、労働者には働く場所を選ぶ権利があります。

したがって、内定を辞退すること自体は法的に何ら問題のある行為ではなく、応募者の正当な権利です。

しかし、企業側は内定を出した時点で、その応募者の入社を見込んで受け入れ準備を進めています。

採用活動を終了していたり、備品を手配していたりする場合もあるため、辞退の連絡は企業の採用計画に少なからず影響を与えるのです。

そのため、内定辞退をする際には、社会人としてのマナーを守り、誠意を持って対応することが求められます。

単に権利を主張するのではなく、相手企業への配慮を持ったコミュニケーションを行うことが、トラブルを避け、円満に就職活動を終えるための重要なポイントとなります。

「内定辞退」と「内定承諾後辞退」の違い

「内定辞退」と似た言葉に「内定承諾後辞退」がありますが、この2つはフェーズと重要度が異なります。

一般的な「内定辞退」は、企業から内定の通知を受け取った後、内定承諾書などの誓約書を提出する前の段階で断ることを指します。

この段階では、まだ労働契約が正式に成立する前、あるいは合意形成の初期段階とみなされることが多く、比較的スムーズに手続きが進みます。

一方で「内定承諾後辞退」は、内定承諾書に署名・捺印をして提出した後に辞退することを指します。

内定承諾書の提出は、入社日を始期とする労働契約がすでに結ばれている状態といえます。

民法第627条の規定により、期間の定めのない雇用契約であれば、2週間前の申し入れによって解約することは可能です。

したがって、内定承諾後であっても辞退すること自体は法的に認められます。

しかし、内定承諾により企業側は採用活動を終了し、研修の準備などを進めている段階であるため、内定辞退よりも企業にかける迷惑や損害のリスクは格段に大きくなることは認識しておくべきです。

参考)e-Gov「民法」

内定辞退はいつまでに連絡すべき?

内定辞退の連絡期限については、「法律上の期限」と「ビジネスマナー上の期限」の2つの側面から考える必要があります。

法律の観点から言えば、民法の規定に基づき、入社日の2週間前までに申し入れを行えば契約の解除が可能です。

しかし、ビジネスマナーの観点から円満な辞退を目指すのであれば、法律上の期限を盾にしたギリギリのタイミングでの内定辞退は避けるべきです。

企業は入社日に向けて、パソコンの手配、研修資料の作成、配属先の調整など、多くのコストと時間をかけて準備を行っています。

入社直前の辞退は、企業側によるこれらの準備をすべて無駄にするだけでなく、欠員を補充するための追加採用も強いることになります。

したがって、内定辞退の連絡は「辞退の意思が固まった時点で、一刻も早く」行うのが鉄則です。

他の企業の選考結果待ちである場合でも、結果が出たら、速やかに連絡を入れましょう。

新卒が内定を辞退する際に心掛けるべきこと

就職活動において内定辞退は避けて通れないプロセスの一つですが、対応を誤ると大学の後輩に迷惑がかかったり、業界内での評判を落としたりする可能性があります。

ここでは、新卒学生が内定を辞退する際に必ず守るべき4つのポイントを解説します。

内定先の企業への連絡を怠ってはいけない

最も避けるべき行為は、内定辞退の連絡をせずにそのままフェードアウトしてしまうことです。

辞退の連絡がない場合、企業側としては入社することを前提に受け入れ準備を整えることになり、多大な迷惑をかけてしまいます。

内定を辞退することは言いにくいかもしれませんが、辞退の連絡を入れないことは相手を無視する行為であり、社会人として最大のルール違反です。

どのような状況であっても、必ず連絡を入れて意思を伝えてください。

内定辞退を決めた場合はできる限り早く連絡する

前述の通り、連絡のスピードは非常に重要です。

企業は、採用予定人数を確保するために活動しており、一人の辞退者が出ると、その穴を埋めるために新たな候補者に連絡をしたり、選考を再開したりする必要があります。

内定辞退の連絡が早ければ早いほど、企業は次の手を打ちやすくなるのです。

たとえば、補欠合格者への繰り上げ連絡などがスムーズに行えるようになります。

逆に連絡が遅れると、他の候補者も他社に決まってしまい、企業は採用計画が未達となってしまうことになりかねません。

相手企業の事情を考慮し、自分の結論が出たら先延ばしにせず、すぐにアクションを起こすことが誠意の現れとなります。

内定を辞退する理由を丁寧に伝える

内定辞退の理由を聞かれた際は、正直かつ丁寧に答えるのが基本ですが、相手企業を不快にさせるような内容は避けるべきです。

「御社より給料が良い企業が見つかったから」

「御社の雰囲気が合わないと感じたから」

こういったストレートすぎる表現は、角が立つ原因となります。

一般的には「検討の結果、自身の適性やキャリアビジョンを考慮し、他社とのご縁を感じたため」といった、オブラートに包んだ表現を用いるのが無難です。

ただし、詳細を聞かれた場合は、「●●業界で専門性を高めたいと考えた」など、前向きな理由を伝えると納得してもらいやすくなります。

嘘をつく必要はありませんが、これまで評価してくれたことへの感謝を忘れず、相手を尊重した伝え方を選びましょう。

一度内定辞退をしたら原則として撤回できないことを認識しておく

内定辞退の連絡を入れた瞬間、その企業の採用枠は他の候補者へと移るか、消滅します。

「やっぱりあの会社の方が良かったかもしれない」と後悔して、数日後に「辞退を取り消したい」と連絡しても、認められるケースは極めて稀です。

企業側にとって、一度辞退を申し出た人材は「入社意欲が低い」「また辞めるかもしれない」というリスクのある存在として認識されます。

また、すでに他の内定者への切り替えが進んでいることも多いため、物理的にも枠が残っていないことが大半です。

内定辞退は不可逆的な決断であることを深く理解し、一時的な感情や不十分な検討で辞退することがないよう、十分に考え抜いてから行動に移してください。

内定辞退の連絡は電話とメールのどちらでするべきか

内定辞退を伝える手段として、電話とメールのどちらが適切か迷う人は多いですが、基本的には「電話」で伝えるのが最も確実で誠意ある方法です。

電話は、直接声で謝罪と感謝の気持ちを伝えられるため、メールのような文字だけのコミュニケーションよりも誠実さが伝わりやすく、相手の了承をその場で得られるメリットがあります。

しかし、内定辞退を電話で伝えるのは怖いと感じている人も少なくありません。

「怒られるのではないか」「引き止められるのではないか」という不安から、電話することを躊躇してしまう人もいるでしょう。

とはいえ、それが原因で連絡が遅れてしまうのは本末転倒です。

どうしても電話をする勇気が出ない場合や、なかなか担当者に電話がつながらない場合は、メールで連絡するようにしましょう。

一番問題なのは、「連絡が遅れること」です。

可能ならば、まずは電話での連絡を試み、どうしても厳しいようならば少しでも早くメールを送り、内定辞退の意思を少しでも早く伝えるようにしてください。

電話やメールで内定辞退を伝える時の例文

実際に内定辞退の連絡をする際、どのような言葉で伝えればよいのかわからない人のために、具体的な例文とポイントを紹介します。

以下の内容を参考に、自分の状況に合わせて調整してください。

電話で内定辞退を伝える時の例文やポイント

電話をかける際は、相手の忙しい時間帯(始業直後、昼休み、終業間際など)を避ける配慮が必要です。

その上で、メモを手元に用意しつつ、静かな環境から電話するようにしましょう。

以下、電話での内定辞退の例文です。

【自分】お世話になっております。先日内定の通知をいただきました、〇〇大学の〇〇と申します。採用担当の〇〇様はいらっしゃいますでしょうか?

(担当者が出る)

【自分】お世話になっております。〇〇大学の〇〇です。ただいまお時間よろしいでしょうか?

【担当者】はい、大丈夫です。

【自分】この度は内定をいただき、誠にありがとうございました。本日は、選考結果につきましてご連絡を差し上げました。大変申し上げにくいのですが、検討の結果、今回の内定を辞退させていただきたく存じます。

【担当者】そうですか。差し支えなければ理由を教えていただけますか?

【自分】はい。自身のキャリアプランを改めて考え、他業界の企業様とのご縁を優先することにいたしました。〇〇様には面接から大変お世話になったにもかかわらず、このようなお返事となり大変申し訳ございません。

この後も、担当者からいくつか質問があるかもしれませんが、その際は真摯に答えるようにしましょう。

メールで内定辞退を伝える時の例文やポイント

メールで送る場合は、件名だけで用件がわかるようにし、本文はビジネスマナーに則った構成にします。

電話がつながらなかった場合は、その旨も書き添えましょう。

■件名:内定辞退のご連絡(〇〇大学 氏名)

〇〇株式会社 人事部 採用担当
〇〇様

お世話になっております。
先日内定をいただきました、〇〇大学の〇〇(氏名)です。

この度は採用内定の通知をいただき、誠にありがとうございました。
面接や説明会を通じて、貴社の事業や社員の皆様の魅力に触れ、大変光栄に感じております。

しかし、自身のキャリアについて改めて慎重に検討いたしました結果、誠に恐縮ながら、この度の内定を辞退させていただきたくご連絡いたしました。

〇〇様をはじめ、採用に関わってくださった皆様には多大なるお時間を割いていただいたにもかかわらず、このような結果となりましたことを心よりお詫び申し上げます。

本来であれば直接お伺いしてお詫びすべきところではございますが、メールでのご連絡となりましたことをご容赦ください。

末筆ながら、貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。

内定をもらったことへの感謝をしっかりと伝えつつ、辞退することへの申し訳なさも表すようにすべきです。

内定辞退を告げられた企業が取るべき対応

ここからは、内定辞退の連絡を受けた企業・採用担当者の視点での対応について解説します。

辞退者への対応一つで、企業の評判や将来的な採用活動への影響が変わってきます。

内定辞退者には必ず返信する

メールやメッセージツールで辞退の連絡が来た場合、必ず返信を行いましょう。

返信がないと、辞退者は「連絡が届いていないのではないか」「怒らせてしまったのではないか」と不安になります。

事務的な内容であっても、「ご連絡ありがとうございます。辞退の件、承知いたしました」と受領の旨を伝えることが最低限のマナーです。

迅速かつ丁寧な返信は、企業の誠実さを印象付け、SNSなどでのネガティブな口コミの拡散を防ぐ効果もあります。

感情的にならず内定辞退者の気持ちに寄り添う

時間とコストをかけて採用を決めた人材からの辞退は、担当者にとってショックな出来事です。

しかし、そこで感情的になり、相手を責めたり怒鳴ったりすることは絶対に避けてください。

いわゆる「オワハラ(就活終われハラスメント)」と受け取られれば、企業ブランドに傷がつきます。

辞退者も悩んだ末に決断し、勇気を出して連絡をしてきています。

「残念ですが、〇〇さんの決断を尊重します」という対応をすることで、最後まで良い印象を残すことができます。

自社に応募してくれたことへの感謝を伝える

内定辞退者は、数ある企業の中から自社を選び、エントリーシートを書き、面接に足を運んでくれた人たちです。

縁がなかったとはいえ、自社に関心を持ってくれたことへの感謝を伝えましょう。

「数ある企業の中から当社を受けていただき、ありがとうございました」という一言があるだけで、辞退者は「この会社を受けて良かった」と感じます。

将来、その辞退者が顧客になったり、あるいは中途採用で再び応募してきたりする可能性もゼロではありません。

将来のファンを作るつもりで、丁寧なクロージングを行うことが大切です。

強引に引き止めたりしつこく理由を問いただしたりしない

辞退の理由を聞くことは、今後の採用活動の改善のために重要ですが、執拗に問いただすのはNGです。

「なぜうちじゃダメなのか」「就職はどこに決めたのか」と詰問すると、相手は萎縮し、本音を話さなくなります。

また、強引な引き止めや、一度承諾したことを盾に取って脅すような行為は、コンプライアンスの観点からも問題があります。

内定辞退の理由を聞く場合でも、あくまで「差し支えなければ教えてほしい」というスタンスで聞き、相手に話す意思がないようであれば、しつこく聞かずに潔く身を引くことがプロの人事担当者の姿勢です。

企業が内定辞退者を出さないためにできること

内定辞退は、発生してから対応するのではなく、未然に防ぐための努力が重要です。

選考プロセスや内定後のフォローを見直すことで、辞退率を改善することは十分に可能です。

選考過程で自社の魅力を余すところなく伝える

内定辞退の理由として多いのが、「他社の方が魅力的に感じた」「入社後のイメージが湧かなかった」というものです。

これを防ぐためには、選考の各段階で自社の強み、ビジョン、具体的な仕事内容、社風などを十分に伝えきる必要があります。

面接を単なる「見極めの場」とするのではなく、「自社の魅力付けの場」と捉え直し、学生や求職者の志向に合わせた情報提供を行うことが重要です。

現場社員との座談会を設けるなど、リアルな情報を伝える機会を増やすことも有効です。

採用理由を明確に伝えて歓迎していることをはっきりと示す

応募者は「自分は本当にこの会社に必要とされているのか」という不安を持っています。

内定を出す際は、単に通知するだけでなく、「あなたの〇〇という経験を評価した」「〇〇という人柄がうちのチームに合うと思った」といった具体的な採用理由をフィードバックしましょう。

自分を深く理解し、評価してくれていると感じれば、志望度は大きく高まります。

「あなたと一緒に働きたい」という熱意を伝えることが、最後の一押しとなります。

内定承諾後も定期的な連絡や面会を怠らない

内定出しから入社までの期間が空くと、内定者の不安は増大し、その隙に他社からのアプローチを受けて心変わりすることもあり得ます。

これを防ぐためには、内定後も定期的な接触を保つことが不可欠です。

  • 内定者懇親会の開催
  • 社内報の送付
  • チャットツールでの気軽なコミュニケーション
  • 先輩社員とのランチ会の設定

こういった、自社とのつながりを維持する施策を積極的に行いましょう。

「入社を待っている」というメッセージを発信し続けることで、帰属意識を高めることができます。

まとめ

内定辞退は、応募者にとって「職業選択の自由」に基づく正当な権利ですが、企業にとっては大きな損失となる出来事です。

応募者側は、権利を行使する以上、企業への誠意ある対応が求められます。

結論が出たらすぐに、可能な限り電話で、丁寧に辞退の意思を伝えましょう。

企業側は、辞退を真摯に受け止め、感情的にならずに対応するとともに、選考プロセスやフォロー体制を見直し、選ばれる企業になるための努力を続ける必要があります。

お互いがマナーを守り、相手を尊重することで、双方が納得のいく形で採用活動・就職活動を終えることができるはずです。

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