クラウドバックアップとは?中小企業のBCP対策に必須!サービスについて徹底解説

ランサムウェアによるデータ暗号化、地震や水害といった自然災害、あるいは従業員によるうっかりミスなど、中小企業であっても、ある日突然、重要な業務データがすべて失われるリスクはゼロではありません。

データが消えれば、ビジネスは停止してしまいます。「バックアップはNASや外付けHDDに取っているから大丈夫」と思っていても、社内で同時に被災すれば意味がありません。

そこで重要になるのが「クラウドバックアップ」です。この記事では、なぜ今、中小企業にクラウドバックアップが必要なのか、その仕組みやメリット、デメリット、そして自社に合ったサービスの選び方までを徹底的に解説します。

クラウドバックアップは重要なセキュリティ対策の一つですが、データの安全性を脅かすリスクは外部攻撃だけではありません。

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今さら聞けない「クラウドバックアップ」とは?基本的な仕組みを解説

クラウドバックアップとは、PCやサーバー、NASなどのデータを、インターネットを経由して社外の安全なデータセンター(クラウド)に自動で複製・保管する仕組みです。

総務省もBCP(事業継続計画)の観点からデータのバックアップと迅速な復旧の重要性を説いており、クラウドバックアップは有効な手段の一つです。

参考)総務省「データ復旧・バックアップの管理」

クラウドバックアップはなぜ安全?データが守られる仕組みとサーバーの役割

クラウドバックアップが安全な理由は、自社(オンプレミス)とは比べものにならないほど堅牢なデータセンターでデータを保管するからです。

データセンターの主な特長

・震度7クラスの地震にも耐えうる免震構造

・24時間365日の厳重な入退室管理

・自家発電設備

・データを受け取る際に暗号化し、複数のサーバーに分散して保管

万が一、一つのサーバーが故障しても、ほかのサーバーからデータを復元できるため、消失リスクが極めて低いのです。自社でこれだけの設備と体制を整えるのは、中小企業にとって非現実的と言えます。

クラウドバックアップとクラウドストレージとの違いをわかりやすく説明

「クラウド」と聞くと、「クラウドストレージ」を思い浮かべる方が多いかもしれません。両者は似ていますが、目的が根本的に異なります。

項目クラウドバックアップクラウドストレージ
主な目的データの復旧・保全(保険)ファイルの保管・共有(作業場所)
機能・自動バックアップ・世代管理・リアルタイム同期・共同編集
適した用途・BCP対策・災害対策・ランサムウェア対策・業務効率化・テレワーク

クラウドストレージは「ファイルの保管・共有」が主な目的で、リアルタイムで同期されます。そのため、もしPC本体のファイルがランサムウェアに感染したり、誤って削除されたりすると、クラウド上のファイルも即座に同期され、失われてしまいます。

一方、クラウドバックアップは「データの復旧・保全」が目的です。ファイルの変更履歴(世代)を保持しているため、万が一の際も感染前の健全な状態にデータを復元できるのです。

中小企業がクラウドバックアップを導入する5つのメリット

とくに中小企業にとって、クラウドバックアップの導入は、コスト削減や業務効率化に直結する大きなメリットをもたらします。

参考)デジタル庁「政府情報システムにおけるクラウドサービスの適切な利用に係る基本方針」

【BCP・災害対策】場所を問わずデータを保護し、迅速な復元が可能

中小企業のBCP(事業継続計画)対策において、クラウドバックアップは核となります。

クラウドバックアップなら、データは物理的に遠く離れた堅牢なデータセンターに保管されています。

万が一、自社が被災してもデータは安全に守られており、インターネット環境さえあれば、別のPCやサーバーにデータを迅速に復元し、事業をすみやかに再開できるのです。

【コスト削減】自社でサーバーを持たないことによる初期費用・運用コストの抑制

従来型のオンプレミスバックアップでは、バックアップ用の高額な機器を自社で購入して設置する必要がありました。さらに、数年ごとの機器リプレイス費用や、保守・管理にかかる人件費も発生します。

クラウドバックアップであれば、これらの初期費用は一切不要です。月額または年額の利用料金だけで済み、ハードウェアの保守や障害対応もすべてサービス提供者がおこなうため、トータルコストを大幅に抑制できるのです。

【運用負荷の軽減】IT担当者不在でも安心!自動バックアップと簡単な管理

中小企業の多くは、1人の社員が情報システムを担当していたり、IT専門担当者のいないケースが少なくありません。手動のバックアップ作業は、担当者にとって大きな負担でした。

クラウドバックアップサービスは、一度設定すれば、スケジュールどおりに自動でバックアップを実行してくれます。

管理画面も直感的に操作できるものが多く、正常に完了したかの確認も容易です。バックアップ漏れや人為的ミスを防ぎ、IT担当者の負担を劇的に軽減できるのです。

【拡張性】事業拡大に応じた柔軟なストレージ容量の増減

オンプレミスの場合、バックアップ容量が不足すれば、ストレージ機器の増設や買い替えといった大掛かりな作業と追加コストが発生します。

クラウドバックアップは、必要な容量を必要なだけ利用できる拡張性が大きな魅力です。管理画面からプランを変更するだけで、すぐに容量を増やせる一方で、不要になれば減らすことも可能なため、無駄のないコストで運用できます。

【場所を選ばない】PCやサーバーだけでなく、NASやiPhoneの写真データも一元管理

クラウドバックアップには、業務データが詰まったNASはもちろん、社員が使用するPCや、社用のスマートフォンに保存された写真データまで、まとめてバックアップ対象にできるサービスがあります。

データが社内外に分散していても、管理コンソールで一元的にバックアップ状況を把握できるため、情報資産の棚卸しと保護を同時に実現可能です。

参考記事:【第1回マモリクラブ人事会レポート】強固な「守り」が企業の未来を拓く!未来志向のBCPで持続的成長を実現する具体策とは?

導入前に知っておきたいクラウドバックアップのデメリットと対策

クラウドバックアップはメリットが多い反面、導入前に理解しておくべき注意点(デメリット)も存在します。

月額料金などのランニングコストが発生する

初期費用が不要な代わりに、月額または年額のランニングコストが継続的に発生します。これはオンプレミスの買い切り型とは異なる点です。

これを防ぐには、不要なデータをバックアップ対象にせず、コストを抑えます。必要な機能と容量を見極め、自社に最適な料金プランを選ぶことが重要です。

インターネット回線速度が復元時間に影響する可能性

クラウドバックアップは、インターネット回線を通じてデータを送受信します。そのため、自社の回線速度が遅い場合、初回の大容量バックアップや、災害時の全データ復元に時間がかかります。

多くのクラウドバックアップサービスでは、業務時間中の回線を圧迫しないよう、通信量を制限する帯域制御機能があります。また、復元時の手順を決めておくことも有効です。

不正アクセスなどセキュリティリスクへの懸念と対策方法

データをクラウドに置くことに、セキュリティ面での不安を感じるかもしれません。サービス提供者の管理不備や、管理画面への不正アクセスによる情報漏洩リスクもゼロではないからです。

サービス選定時に、暗号化の強度、データセンターの認証など提供者のセキュリティ体制を厳しくチェックします。

情報漏洩はなぜ起こる?原因から学ぶ対策マニュアル

【目的別】中小企業向けクラウドバックアップサービスの賢い選び方

自社の大切なデータを預ける以上、価格だけで選ぶのは危険です。守りたいデータや予算、体制に合わせて、最適サービスの見極めポイントを解説します。

料金体系で選ぶ - 従量課金制と定額制の違い

料金体系は、大きく従量課金制と定額制に分かれます。

料金体系仕組みメリットデメリット・注意点
従量課金制バックアップしたデータ容量や転送量に応じて、利用した分だけ料金が変動・データ量が少ないうちは、低コストで運用できる可能性がある・料金の予測が難しく、想定外の高額請求になるリスクがある
・サービスによっては設定が複雑
定額制あらかじめ決められた容量に対して固定料金を支払う・毎月のコストが固定されるため、予算管理がしやすい
・中小企業にとっては安心感のあるプランと言える
・契約容量を大幅に下回る利用量でも、固定料金が発生する

自社の総データ量を確認し、予算内で収まるか、将来的な増加も見越してどちらが適しているかを検討します。

バックアップ対象で選ぶ - PC、サーバー、NASなど何を守りたいか

社員個人のPCを守りたいのか、サーバーを守りたいのか、あるいはNASを守りたいのかは、クラウドバックアップサービス選定の最重要ポイントです。

とくにサーバーやNASのバックアップには専用機能の必要な場合が多く、PC専用サービスでは対応できません。

また、iPhoneやAndroidなどのスマートフォン、GoogleやAWSなどのクラウドサービスのデータをバックアップしたい場合も、それぞれに対応したサービスを選ぶ必要があります。

セキュリティ要件で選ぶ - 暗号化や国内データセンターの有無

データをクラウドバックアップに預ける以上、セキュリティ要件の確認は必須です。バックアップデータが、通信時だけでなく、保管されている際も暗号化されているか確認します。

また、データセンターの場所も重要です。海外のデータセンターの場合、その国の法律が適用されるリスクもあるからです。

サポート体制で選ぶ - 万が一の際に頼れるサービスか

IT担当者が不足しがちな中小企業にとって、クラウドバックアップのサポート体制は非常に重要です。導入時の初期設定をサポートしてくれるか、操作方法がわからない時にすぐに問い合わせできるかを確認します。

海外サービスの場合、マニュアルやサポートが英語のみであったり、時差で対応が遅れたりする可能性もあります。コストが安くても、いざという時に頼れないサービスは避けるべきです。

バックアップ容量と復元のしやすさで選ぶ

現在必要なバックアップ容量と、将来的にどれくらい増えそうかを見積もり、それに対応できるプランがあるかを確認します。

また、クラウドバックアップは復元できて初めて意味があります。管理画面が複雑で復元手順がわからない、復元に非常に時間がかかる、といった事態は避けなければなりません。

参考記事:DX化とは何か?その意味をわかりやすく解説!中小企業が参考にすべき具体例も紹介

クラウドバックアップに関するよくある質問(Q&A)

クラウドバックアップの導入を検討する際、多くの中小企業から寄せられる疑問や不安があります。ここでは、代表的な2つの質問にお答えします。

Q. 無料のクラウドバックアップサービスを仕事で使っても大丈夫?
無料や低価格のプランを、ビジネスデータのバックアップに使うのは避けるべきです。これらは世代管理機能が弱いか存在しないことが多いため、ランサムウェア対策にはなりません。

ビジネスデータを守るためには、法人向けの有料クラウドバックアップサービスの利用が必須です。

Q.「クラウドバックアップは不要」という意見も聞きますが?
「バックアップはNASに取っているから不要」という意見も確かにあります。しかし、火災や水害で社屋が被災すればNASごと失われます。

また、ランサムウェアが社内ネットワークに侵入すれば、NAS上のバックアップデータもまとめて暗号化されてしまうリスクがあるのです。

安全なのは、ローカルとクラウドを併用することです。最低でも、重要なデータだけはクラウドバックアップで守ることを強く推奨します。

まとめ

この記事では、中小企業のBCP対策として不可欠な「クラウドバックアップ」について、その仕組みからメリット、デメリット、サービスの選び方までを解説しました。

ランサムウェアや自然災害のリスクが高まる現代において、データを失うことは企業の存続そのものを脅かします。

クラウドバックアップは、高額な初期投資や専門知識がなくても、大切なデータ資産を安全に守れる、中小企業にとって現実的で強力な「保険」です。

情報漏洩はなぜ起こる?原因から学ぶ対策マニュアル


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