有給の付与日数は何日?バイトやパート・勤務日数別の早見表と計算ルールを解説
有給休暇は、働くすべての人が持つ重要な権利ですが、その付与日数や計算ルールは雇用形態や勤務日数によって大きく異なります。しかし、実務の現場では「どの従業員に何日付与すべきか」などの疑問が生じやすく、誤った運用がトラブルや是正指導につながるケースも少なくありません。
本記事では、有給休暇の基本ルールから、フルタイム・パート・アルバイト別の付与日数、所定労働日数に応じた計算方法、勤務形態別の早見表までを分かりやすく整理します。
また、以下から人事制度として重要な退職給付金制度についての総合ガイドをダウンロードできますので、こちらも確認してください。
目次
そもそも有給休暇とは?押さえておきたい制度の基本
有給休暇(年次有給休暇)は、労働者が給与を受け取りながら休むことができる制度で、働く人の健康確保やワークライフバランスの維持に重要な役割を持っています。
労働基準法で明確にルールが定められており、企業ごとの任意制度ではなく、すべての使用者に付与義務がある法定休暇です。制度への正しい理解が欠けていると、誤った付与や管理が行われ、法令違反につながる可能性があります。
参考)厚生労働省「年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています」
年次有給休暇の定義と労働基準法のルール
年次有給休暇とは、一定期間勤務した労働者が、賃金を受け取りながら取得できる休暇のことです。労働基準法第39条に基づき、企業は条件を満たした従業員に対して所定の日数の有給休暇を付与する義務があります。
付与日数は勤続年数に応じて増加し、入社6か月後に10日、以後1年ごとに段階的に増えていくことがルールです。また、取得理由を企業が制限することはできず、「私用」や「家庭の事情」など、理由を問わず取得できます。
参考)e-GOV「労働基準法」
有給が「発生する条件」は勤続6か月+8割出勤
有給休暇が付与される条件は、非常にシンプルです。
- 勤続期間が6か月以上であること
- その期間の出勤率が80%以上であること
この2点を満たした時点で、法定の日数を必ず付与しなければなりません。
「出勤率」は、遅刻・早退・欠勤などを含めて実際に働いた日数をもとに計算しましょう。出張や研修、産休・育休など「出勤したものとみなされる日」も含まれるため、単純に出勤簿だけで判断すると誤りにつながる場合があります。
参考)厚生労働省「年次年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています」
参考記事:中小企業向け退職時の有給消化トラブルを避ける!人手不足でも円満解決の極意
「正社員だけの制度」ではない点に注意
年次有給休暇は、正社員だけに与えられる特別な制度ではありません。パート・アルバイト・契約社員・派遣社員など、雇用形態に関係なく、条件を満たした全ての労働者に付与する義務があります。
勤務日数や労働時間が少ない短時間労働者であっても、所定労働日数に応じて比例付与される点を覚えておきましょう。「週2勤務だから有給はない」「アルバイトには有給が関係ない」という判断は誤りであり、監督署の是正指導につながる代表的なミスといえます。
まずは、全ての従業員に付与義務がある制度であることを前提に、勤務日数に応じた正しい日数を計算することが重要です。
有給の付与日数はどう決まる?基本の考え方と計算ルール
有給休暇の付与日数は、「勤続年数」と「所定労働日数(週の勤務日数)」で決まります。フルタイムで働く従業員は勤続年数に応じて日数が増え、パート・アルバイトなど短時間労働者は勤務日数に応じて比例付与される仕組みです。
まずは、この基本的な考え方を押さえることが、正確な付与につながります。
参考記事:【中小企業向け】離職防止の教科書!明日から使える施策アイデアと成功事例
フルタイム勤務の場合|年次ごとの付与日数一覧
フルタイム勤務(一般的には週5日、年間217日以上勤務)の従業員には、労働基準法で定められた日数を必ず付与しましょう。有給休暇は「入社6か月後に10日」がスタートで、その後1年ごとに日数が増えていくのが特徴です。
フルタイムの付与は非常にシンプルで、勤続年数を正しく把握していればミスは起きにくい領域といえます。一方、シフト制・変形労働制の従業員では「どこからがフルタイムか」の判断が曖昧になりやすいため、年間の所定労働日数を明確にしておくことが大切です。
週1〜5日勤務のパート・バイト|所定労働日数で変わる計算方法
パート・アルバイトの有給休暇は、「週の所定労働日数」「年間の所定労働日数」に応じて比例付与される仕組みになっており、フルタイムと異なる計算表が使われます。
一般的な考え方は以下のとおりです。
- 週4日勤務ならフルタイムに近い扱いで、付与日数も比較的多い
- 週1〜3日勤務の場合は、勤務日数に応じて付与日数が少なくなる
- 年間48日以上働く場合は必ず比例付与の対象になる
例として、週3日勤務の場合は「入社6か月で5日」、週2日勤務なら「入社6か月で3日」など、勤務頻度に合わせて付与日数が決まります。
「少ない勤務日数だから有給は発生しない」という誤解は非常に多く、監督署への相談でもよく見られるポイントです。勤務日数が少ない従業員にも必ず比例付与が必要です。
雇用形態・勤務形態別の有給付与日数早見表
実務で最も迷いやすいのが、「勤務形態別の付与日数整理」です。特にパート・アルバイト・契約社員・派遣社員など複数の働き方が混在する職場では、付与基準があいまいだとトラブルにつながります。
早見表の考え方は、次の3ステップです。
- 週の所定労働日数(例:週2日、週3日など)を把握する
- 年間の所定労働日数(48日〜216日)を確認する
- それに対応する比例付与の表に当てはめる
この早見表により、パートやアルバイトなど短時間労働者にも適切に有給が付与できるようになります。
また、有給休暇は雇用形態ではなく「所定労働日数」で決まるため、契約社員や派遣社員も同じルールで算定する点に注意が必要です。
契約社員・派遣社員・短時間労働者への対応は?
有給休暇は、正社員だけでなく契約社員・派遣社員・短時間労働者にも同じく付与義務がある制度となります。勤務日数や労働時間によって付与日数が変わるため、雇用形態が多様な企業ほど正確なルール理解と運用が必要です。
契約社員・派遣社員も基本ルールは同じ
契約社員や派遣社員であっても、有給休暇の付与条件は正社員と変わりません。雇用期間が定められているかどうかに関係なく、勤続6か月と出勤率8割を満たせば必ず有給が発生します。
以下に要点をまとめました。
| 観点 | 内容 |
| 発生条件 | 勤続6か月以上、出勤率8割以上 |
| 付与日数の考え方 | 所定労働日数が基準。フルタイムと同条件なら同じ日数 |
| よくある誤り | 「契約社員には有給がない」「派遣は付与対象外」などの誤解 |
契約・派遣であることを理由に付与日数を減らしたり、付与しない取り扱いは法令違反となるため注意が必要です。
週2勤務・週3勤務など、勤務頻度が低い場合の扱い方
パート・アルバイトのように勤務日数が少ない従業員にも、有給休暇は比例付与として必ず発生します。勤務頻度が低いほど日数は少なくなりますが、「勤務日数が少ない=有給なし」という判断は誤りです。
比例付与のポイントを以下に整理しました。
| 観点 | 内容 |
| 基準 | 週の所定労働日数・年間所定労働日数で決まる |
| 発生の最低ライン | 年間48日以上の勤務で必ず比例付与が必要 |
| よくあるミス | 実際のシフト日数で判断する、短時間労働者を付与対象外にしてしまう |
週2・週3勤務などの短時間労働者にも、正確に付与日数を計算し、必ず有給を与える必要があります。
時短勤務やシフト制の従業員への注意点
時短勤務者やシフト勤務者では、「労働時間」ではなく「所定労働日数」で付与日数を判断する点が特に重要です。不規則勤務の従業員が多い職場では、この点の誤解から付与ミスが発生しやすくなります。
ポイントは以下の通りです。
| 観点 | 内容 |
| 時短勤務の場合 | 時短でも週5勤務ならフルタイムと同じ付与日数 |
| シフト制の場合 | 実労働日数ではなく契約上の所定労働日数で判断 |
| 注意点 | 年間日数が変動しやすい職種はルールの明文化が必須 |
| よくある誤り | 「勤務時間が短いから付与日数が減る」という誤解 |
特にシフト制の従業員は年間で勤務日数がぶれやすいため、契約書や就業規則で基準を明確にしておくことが実務では欠かせません。
有給休暇の「繰越し」と「時効」ルールを正しく理解する
有給休暇には「時効」があり、一定期間を過ぎたものは消滅します。付与日数の計算と同じくらい、繰越しと時効の管理は実務でトラブルが発生しやすい領域です。
誤った運用を行うと、従業員とのトラブルや監督署の是正指導につながる可能性もあります。ここでは、企業が確実に押さえておくべきルールと注意点を整理しましょう。
有給の有効期限は2年|1年分だけ繰越し可能
有給休暇の有効期限は「付与された日から2年間」と定められています。つまり、発生から2年が経過すると、有給休暇は自動的に消滅するものです。
このルールに伴い、企業は次のような運用を行う必要があります。
- 毎年付与された有給は そのまま丸ごと翌年度へ繰越される(前年付与分が翌年度の利用可能日数に加算される)
- 2年前に付与された有給は時効により消滅する
- 企業は「付与日」と「消滅日」の2年サイクルを毎年管理する必要がある
例えば、入社2年目で11日の有給が付与された場合、前年から繰越された10日と合わせて「合計21日」が利用可能です。ただし、前年度からの10日は今年度中に使い切らないと翌年には消滅します。
この仕組みを理解しておかないと「有給が消えていた」「取得できると思っていたのに消滅していた」といった従業員トラブルにつながるため、管理が非常に重要です。
古い有給から優先して消化される仕組み
有給休暇を取得する際、どの年の有給から消化されるかは、企業が任意で決められるものではありません。法律上、「古い有給から先に消化される」仕組みになっています。
これは、有給の消滅を防ぎ、労働者が取得しやすいように配慮されたルールです。つまり、従業員が有給を取得するときは、企業側が自動的に「繰越した古い分から使う」形で管理しなければなりません。
逆に、企業が「今年付与分から先に使わせる」といった独自運用をしてしまうと、繰越分が消滅してしまい、労働者が不利益を受ける可能性があります。こうした誤った管理は、監督署の是正指導の対象にもなるため、特に注意が必要です。
繰越し管理における実務上の落とし穴とは?
有給休暇の繰越しと時効の仕組みは単純に見えますが、実務では管理が煩雑になりやすく、ミスが発生するケースが多く見られます。特に中小企業では、Excelや紙で管理している場合、付与・消化・繰越・時効の管理が複雑になりやすく注意が必要です。
以下に、繰越し管理で起こりがちなトラブルをまとめます。
| 落とし穴の種類 | 内容 |
| 付与だけ管理し、繰越・時効を管理できていない | 「付与日数」は把握していても、消滅日が管理されておらず、有給が突然失効するケースがある |
| システム設定ミスで古い有給が正しく消化されない | 古い有給から消化されるルールに反した設定をしてしまい、従業員が不利益を被る |
| シフト制・不規則勤務で付与日がバラつく | 個別に管理が必要になるため、Excel管理では誤差や記録漏れが生じやすい |
| 有給管理簿の更新漏れ | 取得状況・残日数が正しく記録されず、本人と会社側で日数認識がずれる |
| 従業員が「残っている」と思っていた日数が実は失効 | 消滅日を正しく伝えておらず、トラブルに発展するケース |
こうした管理ミスは、従業員との信頼関係を損なうだけでなく、監督署の指導につながることがリスクです。そのため、繰越し管理は手作業に頼りすぎないこと、システムの設定確認を定期的に行うことを意識しましょう。
5日取得義務とは?企業が必ず守るべき最低ライン
年次有給休暇には、企業が必ず確保しなければならない「5日取得義務」があります。これは、従業員が自発的に取得するだけではなく、企業が主体的に管理し、取得させる責任があると法律で定められているポイントです。
制度を正しく理解して運用しないと、労働基準監督署からの指導や罰則につながるため、十分な注意が必要といえます。
参考記事:就業規則がない企業は違法?従業員10人以下でも作成すべき理由とリスクを解説
取得義務は全従業員に|対象者とカウント方法のポイント
5日取得義務の対象となるのは、年に10日以上の有給が付与されるすべての従業員です。
正社員に限らず、パート・アルバイトでも付与日数が10日に達すれば対象となります。
重要なポイントは次のとおりです。
- 企業は「必ず5日を取得させる義務」がある
- 従業員の自発的な取得はカウント可能
- 計画的付与(会社があらかじめ取得日を定める制度)も5日のうちに含められる
- 時季指定(会社が個別に取得日を指定)によって取得させることも可能
つまり、年10日以上付与された従業員であれば、出勤日数・雇用形態を問わず、会社側には「年間5日は必ず休ませる」ことが必要です。
違反時の罰則と監督署の対応事例
5日取得義務に違反した場合、企業には30万円以下の罰金が科される可能性があります。
これは「会社として義務を怠った」ことに対する罰則です。意図的でなくても、管理不足による未取得があるだけで対象になり得ます。
実際の監督署の指導では、以下のようなケースが多く見られます。
- 有給管理簿が未整備で、取得日数が把握できていない
- パート・アルバイトに付与日数が10日あるのに、5日取得を管理していない
- 自動付与システムの設定ミスで、有給消化日数が正しくカウントされていない
- 計画的付与を導入しているが、内容が曖昧で証明できない
監督署は「取得状況のエビデンス(管理簿・システム記録)」を求めるため、日頃からの記録管理が非常に重要になります。
参考)e-GOV「労働基準法」
5日取得を確実にするための運用パターン
5日取得義務を確実に達成するには、従業員任せではなく、企業が計画的に管理できる仕組みを整える必要があります。
特に中小企業では、専任の労務担当者がいないケースも多いです。仕組み化されていないと気づかない間に未取得者が出てしまうこともあります。
以下の表に主要な運用方法とポイントをまとめました。
| 運用パターン | 内容 | 効果・ポイント |
| 年度初めに対象者と必要日数をリスト化 | 有給付与日、付与日数、5日取得対象者を一覧で管理 | 誰が何日必要かが一目で分かり、管理漏れを防げる |
| 四半期ごとの取得状況チェック | 年3〜4回のタイミングで取得状況を確認 | 年末に焦ることなく計画的に取得を促せる |
| 時季指定(会社が取得日を指定) | 未取得者に対し、会社が休む日を指定する制度 | 取得をためらう従業員がいても確実に5日を達成できる |
| 計画的付与の導入 | 会社が年間の取得日を一部まとめて指定する仕組み | 夏季・年末など休みやすい時期に設定でき、運用しやすい |
| 有給管理ツールの活用 | 勤怠システムや管理ツールで自動計算・自動アラートを設定 | 手作業のミスを防ぎ、負担を大きく軽減 |
これらの運用方法を組み合わせることで、企業は安定的に5日取得義務を達成可能です。特に、四半期ごとのチェックや時季指定の仕組みは、多くの企業で導入しやすく、実務上の負担を最小限にできる方法といえます。
有給休暇の管理・付与ミスを防ぐために
有給休暇の付与・管理は、法令違反や従業員トラブルにつながりやすい領域です。特に中小企業では、人事・労務担当者が限られているため、管理の仕組みが不十分なケースも少なくありません。
ここでは、有給管理で押さえておくべき基本ルールと、実務で起こりやすいミスを防ぐためのポイントを整理しました。
有給管理簿の作成義務と実務対応
有給休暇を正しく運用するためには、まず企業が「有給管理簿」を作成し、正確に記録を残すことが必須です。労働基準法では、企業規模に関係なくすべての使用者に対して管理簿の作成・3年間の保存義務が課されています。
特に中小企業では紙やExcelでの運用が多く、付与日・残日数・繰越・時効を誤ってしまうケースが少なくありません。ここで、一度管理すべき内容を整理しておくことが重要です。
以下に、有給管理簿で必ず管理すべき項目と実務のポイントをまとめました。
| 管理項目 | 内容 | 実務上のポイント |
| 付与日 | 有給が発生した日 | 入社日が異なる従業員が多い場合は個別管理が必要 |
| 付与日数 | 法定に基づく付与日数(比例付与含む) | パート・アルバイトの付与日数計算が誤りやすい |
| 取得日・取得日数 | 従業員が実際に取得した日・取得数 | 勤怠システムとの整合性を必ず確認する |
| 残日数 | 取得後に残っている有給日数 | 繰越分と今年度分を明確に区分する |
| 時効日(消滅日) | 付与から2年後に自動消滅する日 | 消滅日管理が抜けるとトラブルになりやすい |
この管理簿は、監督署の調査で必ず確認される資料です。「付与はしているけれど、記録が残っていない」「エクセルで管理していたが、消滅日がずれていた」などのケースは是正対象になります。
実務対応としては以下がポイントですので、押さえておきましょう。
- 付与日と時効日が自動計算されるフォーマットを用意する
- シフト制・短時間労働者の付与タイミングは個別シートで管理する
- 勤怠システムの取得履歴と管理簿を定期的に突き合わせる
- 年1回ではなく、四半期ごとに更新・チェックする
管理簿の整備は地味な作業ですが、付与漏れ・取得漏れ・時効トラブルをすべて防ぐ最重要ポイントです。
取得・付与ミスが招く法的リスクと是正指導の実例
有給休暇の付与・管理ミスは、企業側の意図に関わらず「法令違反」とみなされる場合があります。特にパート・アルバイトへの比例付与や、5日取得義務、管理簿の作成義務などは監督署の重点チェック項目です。
まず、代表的な法的リスクと実際の是正指導事例を表に整理します。
| 発生するリスク | 内容 | よくある是正指導の例 |
| 付与漏れ | パート・アルバイトに比例付与していない | 「勤務日数に応じて有給を付与していない」と行政指導 |
| 付与日数の誤り | 所定労働日数に合わない日数を付与している | 付与日数の再計算・付与不足分の付け直しを指示 |
| 5日取得義務違反 | 年10日付与された従業員に5日取得させていない | 指導票で取得計画の提出を求められるケースが多い |
| 管理簿の未整備 | 有給管理簿が作成されていない・情報不足 | 「管理簿の整備・3年保存」の是正指導 |
| 取得抑制(時季変更権の乱用) | 忙しさを理由に申請を認めない運用 | 「取得妨害」として行政から強い指摘 |
これらのトラブルは企業の信頼を損ねるだけでなく、最悪の場合は罰金・再調査・是正勧告に発展することもあります。
特に「付与漏れ」「時季指定義務の未達成」「管理簿未作成」は監督署が最も重視するポイントです。
中小企業でも対応できる制度設計・ツールの整備
有給管理は複雑な業務のように見えますが、制度設計とツールを整えることで中小企業でも負担なく運用できます。特に、制度の明文化・システム化・年間スケジュール整備の3つは労務リスク軽減に直結する重要な点です。
以下に、中小企業が取り組みやすい整備ポイントをまとめました。
| 整備ポイント | 具体的な内容 | 効果 |
| 就業規則・契約書の明文化 | 所定労働日数、比例付与の基準、シフト制の考え方 | 個別の判断ブレを防ぎ、付与ミスを減らす |
| 管理ツール・勤怠システムの活用 | 有給の自動計算、時効アラート、消化状況の可視化 | 手作業ミスが大幅減。監督署対応も容易になる |
| 年間カレンダーの整備 | 付与日、確認日、繰越・消滅日を決めておく | 年間を通して安定した管理ができる |
| 従業員へのルール共有 | 取得方法・申請方法を周知 | 誤解や申請漏れを防ぎ、5日取得義務も達成しやすい |
中小企業の場合、管理者が兼務していることも多いため、仕組み化しないと属人化しやすい傾向があります。
まとめ
有給休暇は、すべての労働者に保障された重要な権利であり、企業にとっても法令順守と職場環境づくりの軸となる制度です。
中小企業でも、有給管理簿の整備、勤怠システムや管理ツールの活用、年間管理スケジュールの策定、就業規則での明文化などの仕組みを整えることで、無理なく正しい運用ができます。
制度を正しく理解し、中小企業としての管理体制を整えることが重要です。従業員が安心して働ける環境がつくられ、職場全体の生産性向上にもつながります。
この記事を参考に、自社の有給休暇制度が適切に運用されているか、ぜひ見直してみてください。
関連記事
-
中小企業が活用できる助成金・補助金!東京都を中心に最新情報からサポートまで解説
中小企業の経営者にとって、資金繰りや人材確保、設備投資は常に重要な経営課題です。これらの課題解決を力強く後押しするのが助成金や補助金です。
しかし、「種類が多すぎて、自社に合うものがわからない」「補助金との違いが不明確だ」「申請手続きが複雑そう」といった理由で、活用をためらっている経営者も多いのではないでしょうか。
この記事では、中小企業が今すぐ活用を検討すべき助成金・補助金について、その基本的な違いから、具体的な制度の一覧、効率的な探し方までを網羅的に解説します。
さらに、申請に不安を持つ中小企業のために、専門家による助成金サポート活用のメリットについても詳しくご紹介します。
-
リテンションとは?意味・目的・リスク・施策事例をわかりやすく解説
こうした課題を解決するキーワードが「リテンション(人材定着)」です。近年では、報酬や福利厚生だけでなく、エンゲージメントやキャリア支援、コミュニケーションなど多面的なアプローチが求められています。
この記事では、リテンションの定義や目的、企業における重要性、施策の方向性、失敗しやすい落とし穴まで、中小企業の経営層・人事担当者の視点でわかりやすく解説します。「リテンション対策、何から始めればいいの?」という方の指針となる内容です。
また、以下の記事では企業の経営者、採用担当者向けに「従業員の離職理由や離職対策に関する調査」を紹介しています。人材の定着に悩んでいる方はこちらも参考にしてください。
-
給与計算の完全ガイド|手取り計算シミュレーションから無料ソフトまで徹底解説
給与計算は、単に従業員へ給与を支払う手続きではありません。それは、会社の根幹を支える従業員との信頼関係を築き、法令を遵守する健全な経営に不可欠な戦略的業務です。
しかし、毎年のようにおこなわれる法改正や複雑な給与計算に、多くの中小企業経営者やバックオフィス担当者が頭を悩ませているのが実情ではないでしょうか。
この記事では、そうした悩みを解決するため、給与計算の基礎知識から、業務を劇的に効率化するツール、さらには活用できる補助金制度まで、給与計算に関する情報を網羅します。
-
リスキリングとは?意味やリカレントとの違い、導入ステップを解説
日本企業の多くが人材不足に直面し、その打開策としてリスキリングが注目されています。本記事では、リスキリングの定義や導入ステップ、具体的な成功事例について解説します。
-
スキルマップの作り方や作成目的を解説!役立つテンプレートも紹介
「従業員のスキルを正確に把握できていない」
「評価基準が曖昧で部下から不満が出ている」
「特定の社員しかできない業務があり、休まれると困る」
組織運営において、上記のような人材マネジメントに関する悩みを抱えている企業も多いのではないでしょうか。
こういった場合に役立つのが、従業員の能力を一目でわかるように可視化できる「スキルマップ」です。
しかし、いざ導入しようと思っても、どのような項目を設定し、どう運用すればよいのか迷う場合も少なくありません。
そこでこの記事では、スキルマップを導入する目的やメリット、失敗しないための具体的な作り方などについて詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

マモリノジダイとは
会員登録







