エクイティとは?ビジネスにおける意味やダイバーシティとの関係をわかりやすく解説

ビジネスシーンで「エクイティ」という言葉を耳にする機会が増えています。しかし、文脈によって意味することが異なるため、混乱している経営者の方も少なくありません。

特に中小企業において、これらの概念を正しく理解し経営に取り入れることは、資金調達からブランド構築、そして深刻な人手不足を解消するための組織づくりに至るまで、極めて重要な意味を持つのです。

この記事では、多義的な「エクイティ」の意味を整理し、中小企業が持続的に成長するためのヒントをわかりやすく解説します。

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エクイティとは?ビジネスにおける意味と英語の語源

エクイティは、直訳すると「公平」や「正当」を意味しますが、ビジネスにおいては「価値のある権利」や「資産」といった側面が強調されます。言葉のルーツと、現代ビジネスで使われる3つの主要な定義を整理します。

エクイティ(Equity)の英語本来の意味と直訳

英語の「Equity(エクイティ)」は、ラテン語の「aequitas(等しいこと)」を語源としています。

法律や社会的な文脈では「公平・公正」を意味し、会計や金融の文脈では「負債を差し引いた正味の資産価値」を指します。

単なる「平等(Equality)」ではなく、個々の状況に応じた正当な扱いや権利というニュアンスです。

ビジネスシーンで使われる主な3つの「エクイティ」

ビジネスで使われる「エクイティ」は、大きく分けて以下の3つの領域で使われています。

領域主な用語意味・特徴
ファイナンス(財務・資本)エクイティ・ファイナンス・株主資本(自己資本)を指す
・銀行借入などの「負債(デット)」とは異なり、返済義務のない資金調達のこと
マーケティングブランド・エクイティ・ブランド名やロゴ、顧客からの信頼を「資産」として捉える考え方
・目に見えないブランドの力が利益の源泉となる
HR・組織マネジメントダイバーシティ&エクイティ(D&E)・一人ひとりの状況に合わせた支援を行い、誰もが成果を出せる「公平な土台」をつくること

このように、エクイティとは価値の根源を指す言葉であり、中小企業経営においては「財務・ブランド・人材」という3つの重要資産を強化するためのキーワードと言えます。

参考)特許庁「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進」

日本学術会議「科学者委員会 ジェンダー・エクイティ分科会」

ファイナンスにおける「エクイティ」の意味と中小企業の資金調達

財務戦略におけるエクイティは、主に「自己資本(株主資本)」を指します。中小企業が成長のために資金を必要とする際、銀行などからの借入(デット)とは異なる、もう一つの重要な調達手段となるのです。

ファイナンスの文脈では、資金調達は大きく「デット・ファイナンス」と「エクイティ・ファイナンス」に分けられます。

項目デット(負債)エクイティ(資本)
主な手段・銀行融資
・社債の発行など
・新株発行
・増資など
返済義務あり(利息を付けて期限までに返済)なし(原則として返済不要)
経営権への影響なし(経営権は維持される)あり(出資者に株式=経営に関与する権利を渡す)
主なメリット経営の独立性を保てる財務体質が強化され、キャッシュフローが安定する

マーケティングにおける「ブランド・エクイティ」とは?中小企業の資産価値

中小企業が大手企業と価格競争をせずに生き残るためには、自社の名前やサービスそのものに価値を持たせる「ブランド・エクイティ」の視点が欠かせません。

ブランド・エクイティの意味と経営へのメリット

ブランド・エクイティとは、ブランドが持つ「資産的な価値」のことです。例えば、同じ機能の製品でも、特定のロゴがついているだけで高く売れたり、選ばれたりするのは、そのブランドにエクイティ(資産価値)があるからです。

【経営へのメリット】

  • 価格競争の回避: ブランドへの信頼があれば、安売りをしなくても顧客に選ばれ、高い利益率を維持できる
  • 販促コストの削減: 知名度や信頼が高まることで、多額の広告費をかけずともリピーターが増え、効率的な集客が可能になる
  • 協力会社との良好な関係: 信頼あるブランドは、取引先や金融機関からも高い評価を受けやすくなる

ケビン・レーン・ケラーの「ブランド・エクイティ・ピラミッド」

ブランド・エクイティの構築ステップを体系化したのが、ケビン・レーン・ケラー教授が提唱した「ブランド・エクイティ・ピラミッド」です。下から順に以下の4段階でブランドを育てます。

ケビン・レーン・ケラーの「ブランド・エクイティ・ピラミッド」

参考)J-Stage「強いブランドを構築するためのピラミッド・モデル」p.32

階層中小企業が取り組むべき核心
第4段階:共鳴レゾナンス熱狂的なファンの創出

単なるリピーターを超え、自ら他者にすすめる伝道師のような関係性を築く
第3段階:反応ジャッジメント&フィーリング信頼と安心感の獲得

品質への客観的な評価(理性)と、そのブランドを持つ喜び(感情)の両方を満たす
第2段階:意味パフォーマンス&イメージ独自性と信頼の裏付け

機能やサービスの強み(パフォーマンス)と、親近感や洗練さ(イメージ)を具体化する
第1段階:確立セイリエンス特定のシーンでの想起

単に名前を知っているだけでなく、「〇〇に困ったらあの会社」と真っ先に思い出してもらう

中小企業こそ、このピラミッドを意識し、一歩ずつ顧客との信頼を積み上げることが重要なのです。

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人事・組織戦略における「エクイティ」とは?ダイバーシティとの違い

近年、企業の社会的責任や採用ブランディングにおいても、「エクイティ(公平性)」の概念が急速に重要視されています。

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの考え方

多くの企業が取り組んできた「ダイバーシティ(多様性)」と「インクルージョン(包摂)」に加え、その橋渡し役として「エクイティ(公平性)」を加えたのが「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)」です。

単に多様な人材を集めるダイバーシティだけでなく、一人ひとりが持つスタートラインの違いを考慮して適切なサポートを提供(エクイティ)することで、初めて全員が組織に馴染み、能力を発揮できる(インクルージョン)という考え方です。

「平等(Equality)」と「公平(Equity)」の決定的な違い

「平等」と「公平」は似て非なるものです。以下の表にその違いをまとめました。

項目平等(Equality)公平(Equity)
考え方全員に同じリソースや支援を与える個々のニーズに合わせて最適な支援を与える
焦点与える量や機会の均一化得られる結果や成功の機会の均一化
具体例全社員に一律1時間の研修をおこなう育児中の社員には短時間で濃密な研修をおこなう

「平等」は一見正しいように見えますが、個々の事情を無視するため、結果として格差を生むことがあります。一方、「公平」は個別の状況に配慮し、誰もが同じゴールに向かえる環境づくりを重視します。

参考記事:職場での心理的安全性の作り方は?安心して働ける環境を実現する施策


中小企業が「エクイティ」の視点を取り入れるためのポイント

エクイティの視点を経営に取り入れることは、企業の安定性を高める「守り」と、成長を加速させる「攻め」の両面で機能します。

財務・ブランド視点での「守り」と「攻め」

中小企業におけるエクイティの活用を、「守り」と「攻め」の観点で整理します。

視点役割具体的なアクション
守りのエクイティ経営基盤の安定化・自己資本比率を高め、不況に強い財務体質をつくる
・顧客の信頼を裏切らないような品質管理の徹底
攻めのエクイティ競争力の強化・独自の強みを磨き、地域一番店やニッチトップとしてのブランドを確立する
・新株予約権などを活用し、優秀な人材を惹きつける

財務的な安定(守り)があるからこそ、大胆なブランド投資や人材投資(攻め)が可能になります。

組織視点での環境整備と人材定着

深刻な人手不足に悩む中小企業にとって、エクイティを意識した組織づくりは選ばれる会社になるための必須条件です。

  • 柔軟な働き方の提供: 介護や育児など、従業員のライフステージに合わせた勤務形態を導入し、働く上での障害を取り除く
  • 心理的安全性の確保: 属性に関わらず、誰もが意見を言える環境整備
  • 個別のキャリア支援: 一律のキャリアパスではなく、個人の強みや状況に応じた教育機会や役割を与える

これらは単なる福利厚生ではなく、従業員が「この会社は自分を見てくれている」という帰属意識(エンゲージメント)を高めるための投資なのです。

まとめ

「エクイティ」とは、単なる流行のビジネス用語ではありません。財務面では「企業の体力」を、マーケティング面では「顧客との絆」を、そして人事面では「人材のポテンシャルを引き出す土台」を意味します。

中小企業が「守りの経営」を固めつつ、持続的な成長を目指すためには、これら多面的なエクイティをバランスよく高めていくことが求められます。

まずは自社のブランド価値を見直し、従業員一人ひとりが公平に活躍できる環境が整っているかを確認することから始めましょう。

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