【2026年最新】地方採用を成功させるポイント!カギは共感を呼ぶメッセージ設計
現在、日本では企業数の約4分の1を「東京+大阪」が占め、人材も集中している状況です。「地方では、良い人が採用できない」「すぐ大都市圏に転職していってしまう」……地方企業の経営者や人事担当の方から、そんな切実な悩みを耳にすることは珍しくありません。
そこで今回、マモリノジダイ編集部では複数の資料とデータをもとに地方採用の現状と可能性について調査しました。
その結果、課題の本質は都市部に事業所がないことではなく、採用戦略がないことだとわかりました。成功のカギとなるのは、働き手のモチベーションを理解し、企業への共感を呼ぶメッセージ設計。
大手・大都市圏と戦わず、地方企業「だから」成功する、最新の採用ノウハウとメッセージ設計のヒントを紹介します。
目次
「9社で1人を奪い合う」採用レッドオーシャン......会社をどう守るのか?
リクルートワークス研究所が発表した「ワークス大卒求人倍率調査(2026年卒)」によれば、従業員300人未満の中小企業の求人倍率は、8.98倍[1]に達しています。中小企業約9社に対して、就職希望者がたった1人しかいないという現状。
一方で、都市部の大企業の倍率は0.4倍前後と、人材が集中している状況です。その背景には、知名度や給与などの好条件、さらには採用予算を投下し、人材エージェント + 求人広告で押しまくる資本力も関係しています。
地方の中小企業にとって、あまりにも厳しい戦い。そのなかでも人材獲得を成功させ、社員を定着させている企業は、どんな「守りの戦略」を持っているのでしょうか?
地方中小企業の採用戦略の立て方は?
ハローワークに求人票を出して待っていれば採用できる……そんな時代ではないことは、人事担当者の方はよくわかっているはず。
ホームページに募集要項を記載し、求人媒体に出稿し、SNSアカウントだって運用している......それでも、採用は難しい。どこに課題があるのでしょうか?
まずは現状を整理するために、自社の採用情報のステータスを3つの要素に分解して考えてみましょう。

- 情報をつくっているか? =求職者が企業を知りたいときに見る、自社HPや採用サイト、SNSアカウントなどが用意されていること。
- 情報はそろっているか? =経営理念や業務内容、年収モデル、カルチャー、ワークライフバランス、福利厚生、地方企業ならその土地で生活するイメージまで、求職者の役に立つ情報がわかりやすく網羅されていること。
- 情報はとどいているか? =求職者にとって企業の知りたい情報が、Webサイト上や広告、SNS投稿などでピンポイントで表示され、その情報からもっと興味関心を深められる仕組みがあること。
求職者に自社で働く姿をイメージしてもらうには、これらの要素が連動する必要があります。
とはいえ、「つくる」「そろえる」「とどける」をすべてクリアしている企業は、とても少ない状況です。
せっかく情報を発信していても、十分に届いていなかったり、そもそも必要な情報が足りていなかったりするケースは少なくありません。
まずは、自社の採用情報がどのような状態にあるのか、足元から確認することが重要です。
もっとも大切なのは、マインドセットの転換です。すでに持っている情報=内的要因を深堀りすることで、「そもそも人口が減っているから」「この業界は給与が低いから」……といったコントロールできない外的要因にとらわれずに、自社オリジナルの採用戦略に舵を切っていけるのです。
—— そして、地方の中小企業にとっての採用戦略の軸は「共感」です。
「共感採用」のフレームワークとは?
ウォンテッドリー株式会社の調査では、求職者が転職先を選ぶ際に重視する項目として「共感できるパーパス(社会的意義)を持っていること」を挙げた方が62%に達しており、「給与水準(65%)」の次につけています[2]。

出典:ウォンテッドリー株式会社:https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/pr_20230221/
地方の中小企業では、大手のように大量採用をする必要はありません。そのため、少数の従業員に長く定着してもらい、成長実感を得ながら活躍してもらうことが基本の採用スタイルとなります。
そこで、戦略のコアに据えられるのが「企業そのものの個性」で限られたターゲットの共感を呼ぶこと。これこそが地方採用の最大の武器なのです。
——では、共感できる個性はどのように創出されるのでしょうか? 地方企業だから発信するべき「共感の要素」に分類しました。

① 存在意義:「この地で〇〇年」のような社歴では不足。「なぜこの地域で、この事業をやるのか」という創業の原体験、解決したい社会課題への怒りや願いをミッション・ビジョン・バリュー(MVV)とともに強く打ち出す。
② 職場のリアル:「家族のような距離感を大切にする」のか、「自律したプロ集団であることを求める」のかといって、評価制度の背景にあるスタンスを明確にする。オフィスの空気感、社内ミーティング、ランチの様子など、地方企業で働く生活イメージと飾らないリアルな日常を伝える。
③ 成長と報酬:絞り込んだペルソナに「具体的にどんな経験があれば活躍できるか」を提示。具体的なキャリアパスや、独自の福利厚生などを伝える。
一般的な転職では③成長と報酬が決め手になると考えられていますが、「共感採用」のカギは、他社にはない強い個性です。そのため、伝えるべき優先順位は①存在意義 → ②環境・カルチャー → ③成長と報酬の順に並びます。
あなたの会社の場合はどうでしょうか? すぐには思いつかないものばかりかもしれませんが、経営層と現場が一体となり、何よりも現在の社員が「共感」できるストーリーを組み立てましょう。
この優先順位を意識し、求人広告だけでなく、自社のホームページやブログで発信してください。求職者の88.7%が応募前に企業のホームページを確認しているという調査もあります[3]。そこに蓄積されたメッセージこそが、求職者が「自分に合っているのはこの会社だ」と感じ、自ら応募に向かう動機になるのですから。
地方企業が本当に採用すべき人材とは?――「共感」と「フィット」を軸としたターゲット設定
御社には求める人材像がありますか? ここからは自社の情報を整理・充実させつつ、並行して採用するターゲットを設定していきます。
「コミュニケーション能力が高く、主体性があり、即戦力で……」そんな完璧な人材を求めてしまいがちですが、これは大手企業ですら採用困難なスーパーマン人材です。
地方企業が狙うべきは、派手な学歴や経歴はなくても、自社のカルチャーに深く共感し、成果のために頑張ってくれるプレイヤー人材。
そして、都会で働くことに疲れてライフスタイルを見直したいと考えている「UIJターン層」です。
調査によれば、地方出身者の45.1%は「地元に戻りたい・やや戻りたい」という潜在ニーズを持っていますが、実際に転居を実行する割合は10%未満にとどまっています[4]。彼らが動けない心理的な壁は、都市部から離れるイメージが持てないからです。
そこで地方採用では仕事内容だけでなく、可処分所得、可処分時間、通勤ラッシュのない環境、子育てや趣味、職場周辺の自然や景色といった「生活のリアル」をセットで発信することがおすすめです。まるで家探しのようですよね? これは「移住採用」と呼ばれることもある地方採用のトレンドです。
自分の価値を発揮できる、等身大で受け入れてもらえる「帰ってこれる居場所」だということが、地方企業の強みです。
中小企業で使える「ペルソナ採用」のノウハウ
さらに、採用メッセージを届ける相手を絞り込む最新の採用手法があります。それが「ペルソナ採用」のフレームワークです。
「素直で、誠実な人」「責任感がある人」「自立自走できる人」といった抽象的な言葉で終わらせてはいけません。個人のエピソードのレベルまで落とし込むことができるはずです。
例えば「新規事業で反対意見が出た際、諦めずに粘り強く対話を重ねて、合意形成をした経験がある人」。ここまで解像度を高めることで、誰に何を届けるべきかが明確になります。
ターゲットの具体的なバックグラウンドをイメージすることも重要です。
マモリノジダイでの連載「直撃! 守る人事・動かす人事」に登場した株式会社アレックスソリューションズは、「元・語学留学生が活躍できる会社」という振り切った人事戦略を打ち出して月間2~3名程度をコンスタントに採用できている、ペルソナ採用の成功例です。
RJP理論を知り「八方美人」から脱却する
最後に、メッセージ発信の心構えです。
気を付けたいのが、誰にも嫌われないようなマイルドな情報発信をやめること。
共感型の採用戦略は「向いている人」を絞り、一方で「向いていない人」を最初から遠ざける戦略でもあります。
——これは、人手不足に悩んでいる人事担当者の方にとっては気の進まない決断ですよね。しかし、大手・大都市圏と戦わないためには、積極的な情報開示がとても重要です。
「残業が発生する時期がある」「教育制度は整っていないから自ら学ぶ必要がある」といった、受け手によってはネガティブに感じられる実態も、正直にさらけ出すこと。「RJP理論(Realistic Job Preview:現実的な仕事情報の事前開示)」と呼ばれる手法です。
特に、地方企業にRJP理論が最適である理由は「定着率」の向上につながるからです。
マイナビの調査では、早期離職の最大の要因は「給与への不満」ではありません。「職場の雰囲気・人間関係のミスマッチ」や「入社前のイメージとのギャップ」であり、これらは給与不満の数値を上回っています[5]。
人事は、採用して終わりではありません。現場が本当に必要としている人にヒットさせるために、八方美人な情報発信から脱却しましょう。
まとめ:地方採用成功のカギは「共感」の言語化
地方企業の採用は「競争率9倍」という極めて厳しい数字との戦いです。しかし、就職市場には「大手」や「大都市圏」に憧れていない多くの人材がいることも、多角的なデータから明らかになっています。
地方採用で重要なのは、条件で戦うことではなく、「誰に・何を・どう伝えるか」を徹底的に絞り込むこと。
自社の存在意義、職場のリアル、成長の機会を言語化し、共感する人材にだけ届くメッセージを発信することが、結果として定着と事業成長につながります。
「うちは地方の小さな会社だから」と嘆く前に、企業には伝えるべき言葉とチャレンジすべき戦略がたくさん残されています。
百社百様のオリジナリティあふれる採用活動を、ぜひ人事担当者が先頭に立って進めていってください! マモリノジダイの記事がその役に立てば幸いです。
【出典データ】
[1] リクルートワークス研究所「第42回 ワークス大卒求人倍率調査(2026年卒)」 株式会社インディードリクルートパートナーズhttps://www.works-i.com/surveys/report/250424_recruitment_saiyo_ratio.html
[2] Wantedly「パーパスとエンゲージメントに関する調査」(2023年2月発表) ウォンテッドリー株式会社
https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/pr_20230221
[3] Wantedly・パーソルテンプスタッフ共催セミナー「【採用】の手法と考え方を見つめ直す ~事例から学ぶ地域企業の人材戦略~」https://www.tempstaff.co.jp/client/seminar/archive/12291.html
[4] 独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)「地域雇用の現状と課題 -若者の定着・UIJターン促進のために-」https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20160511/resume/02_kenkyu_takami.pdf
[5] マイナビ「転職活動における行動特性調査 2024年版」(2024年9月発表) https://career-research.mynavi.jp/reserch/20240926_86171/

マモリノジダイとは
会員登録






