中小企業だからこそ知っておこう！効率的な予算管理とは？

「中小企業にとって、予算管理など無縁のものだ」

このように考えている中小企業の経営層の方もいるでしょう。
しかし、中小企業も予算管理は実施すべきです。
なぜならば、手間やリソースは必要となるものの、それに見合ったメリットが得られるからです。

この記事では、「予算管理とは何か」という基本的なことから、中小企業にも予算管理が必要な理由、予算管理を行うためのポイントなどについて詳しく解説していきます。

予算管理の目的や重要性

まずは、予算管理の概要や目的、経営管理との違いについて解説していきます。

予算管理の根幹となる部分であるため、疎かにせず、この項目を通して正しい知識を取り入れてください。

予算管理とは

企業における予算管理とは、企業の財務資源を効率的かつ効果的に活用するために、事業を展開するにあたって必要な予算を編成し、管理することです。
具体的な作業としては、予算の策定や実績のモニタリング、差異分析、分析結果に基づいた予算調整などが挙げられます。

予算管理で扱われる予算は、主に以下の4種類となります。

売上予算	企業が特定の期間において期待される売上高を見積もる予算。市場調査や過去の実績に基づいて設定する。
原価予算	製品やサービスの提供にかかる直接的なコストを見積もる予算。材料費・労務費・製造費などが含まれる。
経費予算	企業の運営に必要な経費を見積もる予算。人件費・広告費・管理費・設備費などが含まれる。
利益予算	売上予算から原価予算と経費予算を差し引いた残りの利益を見積もる予算。企業の収益性を評価し、目標利益を達成するための指針となる。

これらの予算を適切に管理することで、企業は財務状況を正確に把握することができ、目標達成に向けた具体的な事業計画を立てることができます。

予算管理をする目的

予算管理の主な目的は、経営資源を効率的に配分しつつ、事業目標の達成を確実にすることです。
収益と支出を計画的に管理することで財務の健全性を維持し、無駄な支出を抑制しながら必要な投資を適切に行うことが可能になります。

また、予算実績の差異分析を通じて経営上の問題点を早期に発見し、迅速な対策を講じることもできます。

予算管理と経営管理では何が違う？

予算管理と経営管理の主な違いは、「範囲」と「目的」にあります。

予算管理は、管理する範囲が「予算に関することのみ」に絞られ、予算の編成や執行、統制を通じて特定の期間の業績管理を行うのが目的です。

しかし経営管理では、企業活動全体を包括的に統括します。
経営理念や長期的なビジョンに基づき、経営戦略の策定と実行、組織構造の設計、人材育成、リスク管理、市場分析、研究開発など、幅広い領域をカバーします。

つまり、予算管理は経営管理を構成する要素の一つであり、効果的な経営を行うには、両者の適切な連携と調和が必要です。

中小企業だからこそ予算管理を徹底する必要がある

予算管理は、中小企業こそ行うべき取り組みです。
その最大の理由は、「限られた経営資源を最大限に活用する必要がある」というにあります。

中小企業は、大企業に比べると「ヒト・モノ・カネ」の面でビハインドがあります。
そのため、よりシビアに予算に対して向き合い、無駄な経費を減らしたり、効果的な投資をしたり、といったお金の使い方が求められるのです。

また、予算管理を徹底しておけば、資金繰りの予測・管理が容易になり、突発的な資金不足を防ぐこともできます。
仮に資金的な危機を迎えたとしても、予算管理をしていることを金融機関や投資家にアピールできれば、融資や投資を受けやすくなります。

このように、中小企業が予算管理を行うことには多くのメリットがあるため、「大企業がやるもの」と決めつけず、積極的に取り組むようにしてください。

中小企業が抱える予算管理における課題

前述の通り、中小企業も予算管理を行うべきではあるものの、以下のような問題を抱えていることも事実です。

• リソースが限られている
• 予算の管理が難しい
• エクセルで管理している中小企業が多い

それぞれの問題について、詳しく紹介していきます。

リソースが限られている

中小企業が予算管理に取り組む際、まず問題となるのが「リソース」です。

予算の策定やモニタリング、差異分析を元にした適切な予算修正といった高度な作業を従業員に任せたくとも、中小企業の場合、それだけの技術を持った人材がいないことも多いです。
仮にそういった人材がいたとしても、他の業務で忙しいため担当することができないということもあります。

自社に予算管理を任せられる人材がいないとなると、「外注する」「新規で人材を採用する」という方法しかなくなります。
しかし、いずれの方法にせよコストがかかってしまうのが難点です。

このように、リソースの問題から予算管理を諦める中小企業も多いです。

予算の管理が難しい

中小企業の場合、「様々な理由によって、適切な予算管理が難しくなってしまうことがある」という点も課題となります。

代表的な例としては、「データ不足」です。
予算を編成するための十分なデータを収集することができなかったり、データを分析する体制が整っていなかったりすることで、過去の実績に基づいた予算策定が難しいというケースも珍しくありません。

その他にも、「社内でデータの一元管理ができていない」「予算の最終確認をすべき経営者が多忙」などの理由で、予算管理に取り組むことが難しい場合があります。

エクセルで管理している中小企業が多い

「予算管理ならば実施している」という中小企業も一定数あるはずです。
しかしその中には、エクセルで予算管理を行っている中小企業も多いのではないでしょうか。

確かにエクセルは、多くの中小企業にとって手軽で使いやすいツールであるものの、いくつかの問題があります。
主な問題点は以下の通りです。

• データの入力や計算が手作業になるためミスが起きやすい
• データの共有がしづらい
• チーム内で誰が最新のエクセルファイルを持っているのか把握しづらい
• 他のシステムとの連携が難しい
• セキュリティ管理に限界がある

このように、エクセルを使ったローカルでの予算管理には難点も少なくありません。
管理方法が属人的になりがちであり、最悪の場合、情報漏洩などのリスクに繋がることもあります。

効率的な予算管理を行うためのポイント

中小企業が効率的な予算管理を行うためには、以下のようなポイントを意識しましょう。

• 達成可能な予算を設定する
• 予算管理のプロセスを定期的に見直す
• ITシステムを使って効率的に予算を管理する

それぞれ、詳しく解説します。

達成可能な予算を設定する

中小企業が予算管理をする際は、「無理のない予算を立てる」ことを強く意識してください。
予算に関して、あまりに高すぎる目標を立ててしまうと、逆に従業員のやる気を削いでしまいます。

予算設定の際は、過去の実績や現在の市場状況をしっかりと把握し、そのデータをもとに売上や費用の予測を行いましょう。
売上を過剰に見積もると、実際には達成できない「高すぎる目標」となってしまい、会社全体にストレスがかかります。

だからといって、費用を過少に見積もることはやめましょう。必要な資源を確保できなくなる恐れがあります。
予算を設定する際は、バランスを取りつつ調整してください。

予算管理のプロセスを定期的に見直す

予算は、一度設定したら終わりではありません。
計画を立てたまま放置するのではなく、毎月の進捗を確認し、大きな変化があれば柔軟に見直すことも大切です。

たとえば、年度の初めに設定した予算があったとしても、半年ほど経つと市場環境や会社の状況が変わることがあります。
この時、当初の予算が現実とマッチしなくなっているかもしれません。

そこで、定期的に予算の達成状況をチェックし、必要に応じて修正を加えることで、現実に即した予算管理ができるようになります。

ITシステムを使って効率的に予算を管理する

ITシステムを活用した予算管理は、中小企業の業務効率化に大きく貢献します。

エクセルを使ったローカル環境ですと、前述の通りセキュリティの脆弱さや共有の難しさといった問題が発生します。
しかし、適切なITシステムを導入することで多くの問題を解決することができるのです。

たとえば、会計ソフトやクラウドサービスを使うことで、データ入力や集計作業が自動化され、人為的なミスが減少します。
さらに、予算の執行状況を全社員が共有できることから、問題の早期発見にも繋がります。

予算管理には専用のシステムやアプリを導入しよう

中小企業が予算管理を行う際に、専用のシステムやアプリを活用することは非常に重要です。

予算管理に関する高いスキルがない人でも、専用のシステム・アプリを導入することで、予算の計画から実績のモニタリング、さらには調整までを効率的に行うことができるからです。

手作業ではなく、システムやアプリを使った予算管理を行うことで、具体的に以下のようなメリットを享受できるようになります。

• ヒューマンエラーの減少
• リアルタイムでの情報共有
• 自動化できる作業の増加
• 場所や時間を問わず情報へのアクセスが可能

また、予算管理に特化したシステムやアプリならば、簡単な作業だけで「売上予測」や「費用の見積もり」を行うことができ、複雑な分析やレポート作成もスムーズに行えます。

「作業の効率化」や「予算消化状況の共有」など、中小企業の限られたリソースを最大限に活用するために、専用システム・アプリの導入は非常に有効です。

まとめ

予算管理は、大企業だけが行えばいいものではありません。
中小企業こそ、予算管理を徹底して、ヒト・モノ・カネを余すところなく活用すべきなのです。

これまで予算について軽く見ていたという場合は、更なる事業発展のため、できるだけ早急に予算管理を行うための体制を構築するようにしてください。