【第2回マモリクラブ人事会レポート】「うちの会社は大丈夫」は危険信号?従業員の心と会社の未来を守る、メンタルヘルス対策の最新知識!

2025年9月24日、経営者、人事・労務担当者様を対象としたイベント「従業員のメンタルヘルス対策~不調の原因と対策を考える~」を開催し、多くの皆様にご参加いただきました。
本レポートでは、当日のイベントと情報交換会の様子をダイジェストでお届けします。
「従業員の元気がないように感じるが、どう声をかければいいか分からない」
「最近、離職に関する相談が増えてきた」
そんな課題をお持ちの方は、ぜひご一読ください。従業員と会社の双方を守るための、具体的なヒントがここにあります。
■マモリクラブ人事会とは

人事のリスク回避や課題解決に役立つ実践的な知識と他社事例を学び、交流する場です。
ネットでは見つからないリアルな情報を共有し、会社の守備力を強くする。参加者自身のキャリアアップにも繋げてもらうために開催しています。

■なぜ今、メンタルヘルス対策が経営課題なのか?
従業員のメンタル不調は、個人の問題だけでなく、休職や離職、生産性の低下といった形で企業経営に直接的な影響を及ぼします。
「うちの会社は大丈夫」と思っていても、問題が起きてから場当たり的な対応をしてしまうと、従業員との信頼関係を損なうだけでなく、会社の信用失墜や訴訟といった深刻な事態に発展しかねません。
本イベントでは、2名の専門家が登壇。それぞれの知見を交えながら、問題の根本原因から法的なリスク回避、そして最も重要な「未然に防ぐ」ための具体的な手法までを、Veap Japan株式会社(ヴィープ・ジャパン)代表取締役 兼 公認心理師・キャリアコンサルタントの福井千春氏と、Veap Japan株式会社 産業医/公認心理師 清水宏泰氏が徹底解説しました。

【第1部】セッションダイジェスト:その不調、本当の原因は何ですか?
当日は、4つのテーマに沿って、具体的な事例を交えながらセッションが進行しました。
1. 「実はキャリアの問題だった」面談で本音を引き出すには
メンタル不調の背景に「今後のキャリアへの不安」が隠れているケースは少なくありません。
そもそも多くの人が「キャリア」=「転職」と捉えがちですが、本来「キャリア」とは「どう生きるか」というライフプランが中心です。「どう生きたいか」が見えない状態が、メンタル不調につながることが多いです。
不調を訴える従業員との面談で、表面的な言葉の裏にある本音を引き出すためのキャリアコンサルティングの視点と、具体的な質問手法について解説しました。
その中で、特にキーワードとして挙がっていたのが、「予防」の重要性です。
メンタル不調になってから対応するのではなく、普段からキャリアの悩みなどを聞くことで「予防」に繋げることが重要です。

2. メンタル不調がハラスメント事案に発展する時
不調の原因がハラスメントだった場合、企業の対応はより複雑かつ慎重さが求められます。従業員からハラスメントの訴えがあった際は、必ず双方から事実確認を行い、“安易に一方の主張を鵜呑みにしない”ことが鉄則です。ハラスメントの労災認定基準や、設置が義務化されている相談窓口の効果的な運用方法など、企業の「安全配慮義務」を果たすためのポイントを整理しました。
3. 退職トラブルという「落とし穴」を回避する方法
従業員の退職は、手続きを誤ると「退職の無効」や「未払い賃金の支払い」といった法的リスクに繋がります。産業医や主治医とどう連携すべきか、後々のトラブルを防ぐための面談記録の残し方など、実務ですぐに役立つ知識を共有しました。

4. 最強の予防策は「日々のコミュニケーション」にあり
問題が起きてから対応するのではなく、そもそも問題を発生させないための予防策こそが最も重要です。定期的な「1on1ミーティング」の有効性や、全従業員を対象としたキャリアコンサルティングの導入など、風通しの良い職場環境を作るための具体的な取り組みが紹介されました。
例)
①“沈黙”への対応:相手が黙ってしまった時に、焦って言葉を続けるのではなく、相手が話し出すのを待つ姿勢が大切です。
②非言語コミュニケーション: 相手を威圧しないために、目線を合わせすぎないことも一つの方法です。相手の「鼻」あたりを見て話すことで、適度な距離感を保つことが重要です。

【第2部】活発な情報交換会:経営者たちのリアルな悩みと実践例
講義後には、軽食を囲みながらの情報交換会を実施。リラックスした雰囲気の中、参加者の皆様による活発な意見交換が行われました。
「1on1を導入したいが、管理職の負担が大きくて…。皆さんの会社ではどう工夫していますか?」
「ハラスメントの相談窓口を設置したものの、なかなか利用されません。どうすれば形骸化を防げますか?」
など、他社のリアルな悩みや実践例が共有されるたびに、会場のあちこちで共感の頷きや新たな気づきの声が上がります。講師に直接、自社のデリケートな悩みを相談する姿も多く見られ、イベントで得た知識を自社に持ち帰り、実践しようとする皆様の熱意が伝わってくる時間となりました。

■まとめ BCPは、未来を切り拓くための経営戦略
まとめ 従業員を守る「仕組み」が、会社の持続的な成長を支える
今回のイベントと情報交換会を通じて、従業員のメンタルヘルス対策は、担当者個人のスキルに依存するのではなく、会社全体で「仕組み」として取り組むべき重要な経営課題であることを再確認いただけたのではないでしょうか。
従業員一人ひとりが安心して働ける環境を築くこと。それこそが、不要な離職を防ぎ、組織の活力を高め、ひいては会社の未来を盤石にするための最も確実な「守り」なのです。
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■学べる&情報交換できるイベント続々開催します!!
マモリノジダイでは、今後も中小企業の守備力を高め、成長を支援するためのイベントやコンテンツを企画してまいります。
ご興味のある方は、ぜひ現地開催・オンラインのイベントへ足をお運びください。