【中小企業向け】離職票の再発行手続きを徹底解説!ハローワーク・電子申請の方法から必要書類まで

退職した従業員から、離職票を紛失したので再発行してほしいと連絡があったり、離職票の再発行手続きの方法がわからず、突然の依頼に戸惑ったりしてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。

離職票は、退職者が失業手当(基本手当)を受給するために不可欠で重要な書類です。再発行を求められた場合、会社は迅速かつ適切に対応する必要があります。

この記事では、中小企業向けに、離職票の再発行手続きについて、会社の義務といった基礎知識から、ハローワークでの申請、電子申請の具体的なやり方、必要書類まで網羅的に解説します。

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離職票の再発行を求められたら?会社が知っておくべき基礎知識

退職者から離職票の再発行を求められた際、中小企業としてどのように対応すべきか、法的な義務や手続きの流れ、そして再発行が可能なパターンなど、知っておくべき基本事項を解説します。

そもそも離職票とは?

離職票とは、正式には「雇用保険被保険者離職票」といい、退職者が失業給付(基本手当)を受給するためにハローワークへ提出する重要な書類です。

会社が作成し、ハローワークで内容を確認してもらったうえで退職者に交付されます。

退職者の氏名、離職日、離職理由、賃金支払状況などが記載されており、これをもとに失業給付の受給資格や金額が決定されるのです。

会社は、退職日の翌日から10日以内にハローワークに「雇用保険被保険者資格喪失届」とともに提出する必要があります。

参考)厚生労働省「雇用保険の具体的な手続き」

参考記事:【事業主向け】離職証明書(雇用保険被保険者離職証明書)とは?書き方、添付書類などを知っておこう

再発行は会社の義務?

離職票の再発行は、原則として会社の義務ではありません。離職票を紛失・毀損した場合、退職者本人から再発行の申請があった場合でも、退職者本人が手続きするのが原則です。

ただし、会社はハローワークへの手続きを代行することも可能です。実務上は円滑な退職手続きのため、退職者からの求めに応じて会社が再発行の手続きを代行するケースが多くあります。会社経由で手続きする場合は、速やかに対応することが望ましいでしょう。

特に退職者が転職活動中の場合、離職票の有無が次の手続きに影響することもあり、企業対応の印象にも関わります。

参考)厚生労働省「雇用保険被保険者離職票再交付申請書」

手続きの2つのパターン:会社経由と退職者本人が申請する方法

離職票の再発行手続きには、主に以下の2つのパターンがあります。

項目会社(事業主)経由で申請退職者本人が直接申請
申請者会社(事業主)が退職者の代理として申請を代行退職者本人
窓口事業所を管轄するハローワーク居住地を管轄するハローワーク
会社への連絡必要(会社が申請するため)原則として不要
メリット・退職者の手続き負担が少ない・会社と退職者の連携がスムーズな場合に有効・会社との連絡が困難な場合でも手続き可能 ・離職票を再発行したい本人が直接状況を確認できる

パターン別・離職票の再発行手続きのやり方

ここでは、具体的な申請方法を3つのパターンに分けて詳しく解説します。

パターン1:会社がハローワーク窓口・郵送で申請する

基本的な方法は、会社の所在地を管轄するハローワークの窓口で申請するか、郵送で申請する方法です。

【手続きの流れ】

  1. 「雇用保険被保険者離職票再交付申請書」を入手・作成
  2. 必要書類を準備
  3. 管轄のハローワークの窓口に持参、または郵送で提出
  4. ハローワークで新しい離職票が交付
  5. 交付された離職票を退職者本人へ郵送

郵送で申請する場合は、切手を貼付し、宛名を記載した返信用封筒を同封するようにします。

パターン2:会社が電子申請(e-Gov)でおこなう

e-Govを利用すれば、24時間いつでもオンラインで離職票の再発行申請が可能です。移動時間や待ち時間がなく、担当者の負担を軽減できるメリットがあります。

【電子申請のやり方】

  1. e-Gov電子申請アプリケーションをインストールし、GビズIDなどでログイン
  2. 手続き検索で「離職票再交付申請」と検索
  3. 「雇用保険被保険者離職票再交付申請書」を選択し、画面の指示に従って必要事項を入力
  4. 退職者の被保険者番号や氏名、離職年月日などを正確に入力
  5. 申請データを送信

後日、ハローワークから電子公文書(再発行された離職票)が発行されるので、ダウンロードして印刷し、退職者に郵送します。

パターン3:退職者本人がハローワークで申請する

退職者本人が直接ハローワークで手続きすることも可能です。この場合、会社は本人から必要な情報の提供を求められることがあります。

【会社が協力すべきこと】

  • 申請先のハローワークを伝える
  • 必要な情報を提供

会社が手続きに非協力的な場合、退職者はハローワークに相談し、ハローワークの指導のもとで手続きを進めることになります。無用なトラブルを避けるためにも、協力的な姿勢が重要です。

【事業者向け】離職票再発行にかかる日数は?即日発行できる?

離職票の再発行手続きを代行する場合、退職者が気にするのは離職票再発行にかかる時間、そしてハローワークなら離職票の再発行は即日でできるのかという点です。

窓口申請による離職票再発行は即日の可能性あり

会社または退職者本人がハローワークの窓口へ直接申請する方法は、再発行の手続きがスピーディーに完了する可能性があります。

再発行に必要な「雇用保険被保険者離職票再交付申請書」とその他の必要書類を揃えて窓口に提出し、内容に不備がなければ、即日または数日で再発行されるケースもあるからです。

ただし、混雑していたり、申請内容の確認に時間を要したりする場合は、後日交付になることもあります。即日発行を希望する場合は、必要書類を完璧に準備し、午前中に窓口に提出するのが有効です。

電子申請による離職票再発行は平均3〜5営業日程度

中小企業が業務効率化のために利用を検討したいのが電子申請による再発行手続きです。e-Govなどの行政手続きオンラインシステムを利用して行います。

場所を選ばず申請できる利便性はありますが、ハローワークでの審査や処理を経ての再発行となるため、平均して3〜5営業日程度を見ておくのが現実的です。

参考記事:【企業も知るべき】退職後に離職票はいつ届く?届かない原因もあわせて解説

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離職票再発行で必要なものとは?申請書や添付書類一覧

会社が離職票の再発行手続きを代行する場合でも、退職者本人がハローワークで申請する場合でも、必要書類を事前に準備することが重要です。特に、申請書は必須となります。

【必須】雇用保険被保険者離職票再交付申請書

雇用保険被保険者離職票再交付申請書

出典)厚生労働省「雇用保険被保険者離職票再交付申請書」

離職票の再発行においてもっとも重要な書類が、「雇用保険被保険者離職票再交付申請書」です。この申請書は、離職票を失くした、または汚してしまい、再発行をハローワークにお願いするためのものです。

会社が代行する場合も、退職者本人が手続きする場合も必ず提出します。「離職票再発行 申請書」には、退職者の氏名、生年月日、被保険者番号、事業所番号、そして再交付を必要とする理由などを正確に記入する必要があります。

申請書はどこで入手できる?書き方のポイント

申請書は、ハローワークの窓口で受け取るか、ハローワークの公式ウェブサイトからダウンロードすることが可能です。

書き方のポイントとしては、特に「被保険者番号」や「事業所番号」を正確に記入することです。これらの情報は、会社の手元にある雇用保険関連書類の控えなどで確認できます。

また、再交付を必要とする理由を具体的に記載すると、離職票の再発行がスムーズに進みやすくなります。

その他の添付書類

申請書以外に、状況に応じて添付が必要となる書類があります。

  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)の写し

本人が申請する場合

  • 事業主の事業所に関する証明書類(雇用保険適用事業所設置届の写しなど)

会社が手続きを代行する場合

  • 委任状

会社が退職者の代理で手続きする場合

  • 戸籍抄本など

氏名変更があった場合

これらの書類は、離職票再発行を郵送で申請する際にも必要となります。ハローワークに事前に確認し、不足がないように準備します。

離職票再発行にまつわるQ&A

最後に、離職票の再発行に関してよくある質問にお答えします。

Q. 退職者本人が手続きする場合、会社に連絡なしでも可能でしょうか?
A. はい、可能です。退職者本人がハローワークに行き、身分証明書などを提示して事情を説明すれば手続きはできます。ただし、手続きをスムーズに進めるために、ハローワークから会社へ在籍確認の連絡が入ることもあります。

Q. 離職票の再発行に期限や時効はありますか?
A. 離職票の再発行手続き自体に時効はありません。しかし、失業手当の受給期間は原則として離職日の翌日から1年間です。この期間を過ぎてしまうと、離職票を再発行しても失業手当を受け取れない可能性が高いため、退職者にはその旨を伝えるのが親切です。

Q. 離職票の再発行ができないケースはありますか?
A. 基本的に、雇用保険に加入していた事実があれば再発行は可能です。ただし、雇用保険の被保険者でなかった場合や、虚偽の申請であると判断された場合は再発行できません。

Q. 離職票の再発行は、退職者本人以外も申請できますか?
A. はい、できます。代理人(家族など) 本人がハローワークへ行けない場合、委任状を持参すれば家族などが代理で申請することも可能です。その場合、一般的に以下のものが必要になります。

  • 委任状
  • 退職者本人の身分証明書(マイナンバーカード、運転免許証などのコピー)
  • 代理人の身分証明書(マイナンバーカード、運転免許証など)

Q. 離職票の再発行に費用はかかりますか?
A. いいえ、費用はかかりません。無料です。ハローワークでの離職票の再発行手続きに手数料は一切かかりません。

ただし、郵送で申請する場合の切手代や、ハローワークへ行くための交通費などは自己負担となります。

Q. 離職票の再発行は何回でも可能ですか?
A. はい、原則として何回でも可能です。回数に制限はありません。紛失や汚損の都度、再発行を申請できます。

まとめ

退職者から離職票の再発行を依頼されることは頻繁にはありませんが、いざという時に慌てず対応できるよう、手続きの流れをあらかじめ理解しておくことが重要です。

再発行への対応は会社の法的な義務ではないものの、退職者の生活に関わる大切な手続きですので、協力的な姿勢で臨むことが望まれます。

申請方法には主にハローワークの窓口、郵送、そして電子申請の3つのパターンがあり、状況に応じて最適な手段を選べます。

特に、急を要する依頼であれば即日発行の可能性がある窓口申請を、担当者の業務効率を重視するなら電子申請も検討すべきです。どの方法であっても、必要書類を正確に準備し、スムーズな手続きを心がけることが、円滑な対応の鍵となります。

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