中小企業のための「健康経営」セルフチェック30問!ブライト500への第一歩


労働人口の高齢化や働き方改革の推進を背景に、従業員の健康促進にトップダウンで取り組む姿勢を見せることは、特に規模や待遇で強みを出しにくい中小企業にとって採用面でも大きなメリットとなります。

そこで現在注目されているのが、従業員の健康管理を経営的視点で取り組む「健康経営®」です。

自社で働く全員が健やかでいることが、企業価値向上につながる。
—— まさに「マモリの経営戦略」です。

「マモリノジダイ」編集部では、健康経営への第一歩を踏み出す中小企業が、組織の健康状態を自社で簡単にチェックできる30問のリストを制作しました。厚生労働省のメンタルヘルス指針、健康保持増進指針、治療と仕事の両立支援ガイドライン、ストレスチェック制度の考え方、健康経営優良法人の認定要件などを参考にポイントを押さえた、健康経営入門に最適なチェックリストです。
所要時間は10分程度。ぜひ自己診断からはじめてみてください。

※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

健康経営セルフチェックリスト 30問

リストは、6つのカテゴリーに分けて構成した全30問です。
各設問について「はい」「一部できている」「いいえ」の3段階で答えてください。 

  • はい:2点
  • 一部できている:1点
  • いいえ:0点

合計は60点満点となります。

1. 方針・体制整備

まずは、健康経営が担当者任せではなく、組織として進められる状態かを確認しましょう。厚労省のメンタルヘルス指針では、事業者が取組を積極的に推進する姿勢を示し、衛生委員会等で調査審議を行い、「心の健康づくり計画」や実施方法に関する規程を定めることが重要だとされています。

Q1. 経営層が、従業員の健康保持増進やメンタルヘルス対策に取り組む方針を明確に示している
Q2. 健康経営やメンタルヘルス対策を担当する部署・担当者が明確になっている
Q3. 衛生委員会などで、健康課題やメンタルヘルス対策について定期的に議論している
Q4. 自社の実情に応じた「心の健康づくり計画」またはそれに準ずる運用方針がある
Q5. 健康施策を場当たり的に行うのではなく、年間を通じて継続的に進める体制がある

2. 労働環境への対応

次は、職場環境の改善の土台についてです。
厚労省は、月80時間超の時間外・休日労働者については申し出がなくても面接指導を実施するよう努めること、月45時間超で健康への配慮が必要と認めた者には面接指導等の措置を講ずることが望ましいとしています。ハラスメントやメンタルヘルス対策でも、個人のケア支援を越えて組織で進めることが健康経営にとって重要なポイントです。

Q6. 長時間労働が発生している従業員を把握できる仕組みがある
Q7. 業務量や残業時間の偏りを見つけた際に、業務配分を見直す運用がある
Q8. 有給休暇や休憩を取得しやすい職場づくりができている
Q9. ハラスメントや人間関係のトラブルについて相談できる窓口やルールが整っている
Q10. 特定の人に仕事が集中する属人化を防ぐため、業務の見える化や分担の見直しを行っている

3. 早期発見・相談体制

不調の予防だけでなく、兆候に早く気づいて適切な対応につなげることも守備力の重要な要素です。
2025年の労働安全衛生法改正により、50人未満の事業場でもストレスチェックの実施が義務化されることが決まりました(※公布後3年以内に施行予定)。2026年2月には小規模事業場向けのマニュアルも公表されており、企業規模を問わず、実務的な対応準備を進めることが求められています。

Q11. 従業員の不調のサインに気づくための基準や着眼点が、管理職に共有されている
Q12. 管理職向けに、ラインケアや声かけに関する研修や情報提供を行っている
Q13. 従業員が相談できる社内外の窓口を、誰でも分かる形で案内している
Q14. ストレスチェックや面談制度など、早期発見につながる仕組みが整っている
Q15. 相談したことを理由に不利益な扱いを受けないことが、社内で明確に共有されている

4. ヘルスリテラシー・セルフケア支援

健康経営は、テレワークなど職場にいない勤務時間や、業務外の時間ともに支援できる取り組みです。
厚労省の健康保持増進指針では、労働者の健康保持増進には個人の努力(セルフケア)だけでは限界があるため、会社側からの積極的な支援が必要であると示されています。
具体的には、運動、メンタルヘルスケア、栄養指導、保健指導などを各事業場の実態に即して進める視点が必要です。

Q16. 従業員向けに、睡眠、運動、食事、ストレス対処など健康に関する情報提供を行っている
Q17. 健康管理を本人任せにせず、会社として学ぶ機会や支援策を用意している
Q18. 健康診断の受診勧奨や、その後のフォロー体制がある
Q19. 心身の不調を感じたときに、早めに相談や受診をすることを後押しする風土がある
Q20. リモート勤務者や外勤者なども含め、健康情報にアクセスしやすい環境がある

5. 不調者対応・治療と仕事の両立支援

病気やメンタル不調が起きた後の対応は、組織の守備力が最も表れやすい部分です。
厚労省の両立支援ガイドラインでは、疾病に関する情報は機微な個人情報であり、健康診断で把握した場合などを除き、事業者は本人の同意なく取得してはならないとされています。従業員のプライベートを守りつつ、情報管理体制の整備と、上司、人事労務担当者、産業保健スタッフ、医療機関関係者などの連携を目指しましょう。

Q21. 体調不良やメンタル不調が起きたとき、上司、人事、産業保健従業員などの連携ルートが決まっている
Q22. 休職、復職に関する基本的なルールや手順が社内で整理されている
Q23. 治療中の従業員が、勤務時間や業務内容について相談しやすい仕組みがある
Q24. 健康情報の取得や共有について、本人同意や取扱範囲に関するルールが整っている
Q25. 復職後も再発防止のために、定期面談や業務調整などのフォローを行っている

6. 見直し・改善・職場への浸透

最後は、健康経営のPDCA体制について確認しましょう。
健康経営は、一度制度を作って終わるものではありません。健康経営優良法人の認定要件でも、健康課題の把握や具体的な推進計画・実行が求められています。制度があるかどうかだけでなく、現場で使われ、見直されているかを確認する必要があります。

Q26. 健康施策の実施後に、利用状況や課題を振り返る機会を設けている
Q27. 組織として、従業員の意見をアンケート等で定期的に収集している
Q28. ストレスチェック結果や相談件数などを、個人が特定されない形で組織改善に活用している
Q29. 制度はあるが使われていない、周知されていないという状態を検知する仕組みがある
Q30. 健康経営を一過性の施策ではなく、組織課題の改善活動として位置付けている

—— いかがでしたか? はじめて組織の健康チェックを行った企業にとっては、あてはまる箇所もあれば、これから整備していくべき課題を感じた箇所もあったかと思います。60点満点をとることはかなり難しかったはず。しかし現状が可視化されたことで、自社の傾向に合った施策を考える下地が整いました。次は点数別の改善の考え方を解説します。

「弱いカテゴリ」に注目し、守備力の高い組織へ

判定の目安は次の通りです。

  • 50〜60点:守備力は充分!次の目標は「ブライト500」 
  • 35〜49点:基本はできています!「落とした点数」を補強して盤石な体制へ
  • 20〜34点:ポテンシャルあり。まずは部分的な対応から全体へ
  • 0〜19点:伸びしろ大! まずは基礎固めから

さらにカテゴリ別に見ていきましょう。大切なのは合計点だけでなく、「どの領域で点数が低かったか」を見ることです。

Q1〜Q5【方針・体制整備】が弱い場合:まず「経営層」がコミットする

Q1〜Q5の点が低かった場合は、まず「経営層のメッセージ発信」「担当者の明確化」「定期的な議題化」から整えるのが近道です。方針や推進体制が曖昧なままだと、健康経営は「総務・労務が何かやっている施策」になりやすく、現場や管理職まで浸透しにくくなります。
厚労省は、事業者が積極的にメンタルヘルスケアを推進することを表明し、衛生委員会等で十分に調査審議を行うことを求めています。 

Q6〜Q10【労働環境への対応】が弱い場合:労働時間の把握を目指す

Q6〜Q10の点が低かった場合は、従業員の不調の原因を放置しやすいサイン。「労働時間の見える化」「業務の属人化の解消」「休暇や休憩を取りやすい運用の見直し」から着手しましょう。
相談窓口を整備しても、長時間労働や業務の偏りが常態化していれば、不調の発生そのものを防ぐことは難しくなります。もっとも効果が出やすいのは正しい労働時間と内容の把握です。ここには勤怠管理などのツール導入が非常に有効です。

Q11〜Q15【早期発見・相談体制】が弱い場合:中間管理職のコミットで一気に変わる!

Q11〜Q15の点が低かった場合は、「管理職向けのラインケア教育」が改善ポイント。不調は、本人が自覚していても言い出しにくいもの。そのため、管理職がサインに気づける仕組みがあり、そのうえで相談先を明確にすることが重要です。総務から周知する際は、心理的安全性の確保を優先しましょう。従業員が不調を打ち明けたときに「会社として不利益な取扱いは行わない」と明言することを強くおすすめします。

Q16〜Q20【ヘルスリテラシー】が弱い場合:社内の情報発信に改善ポイントあり

Q16〜Q20の点が低かった場合は、予防施策が「ある」だけで浸透しにくい状態と言えます。
健康情報を発信していても、従業員が自分ごととして受け取り、行動につなげられなければ効果は限定的です。総務部として「健診後フォロー」「セルフケア教育」「リモート勤務者も含めた情報提供の設計」を見直すことが有効です。

Q21〜Q25【不調者対応】が弱い場合:「本人の同意」を遵守しての情報管理を

Q21〜Q25は、「休職・復職・治療との両立に関するルール」「健康情報の取扱い」「連携の流れ」が曖昧な可能性を示します。まずは「本人同意」を前提とした情報管理を行うこと。
そのうえで「相談窓口」「関係者間の連携ルート」を整理しておくことが重要です。 不調が起きてしまったあとの支えは、離職防止の最後のセーフティーネットです。

Q26〜Q30【見直し・改善】が弱い場合:「従業員の声」を集める仕組みづくりを

Q26〜Q30の点が低い場合は、健康経営優良法人認定制度においても極めて重要な「PDCA」の体制が弱いことを示します。
「実施後の振り返り」「従業員の声の収集」「制度の利用状況確認」など、改善サイクルを回す仕組みを整えましょう。なかでも非常に有効なのは「従業員の声の収集」。半期や四半期ごとの定期的なアンケートの作成や、サーベイツールの導入で、自社の健康状態を把握し、常に改善していく組織を目指せます。

現在地をチェックし一歩ずつ守りを固める「健康経営」

経産省が設定する健康経営優良法人認定制度の中小企業部門「ブライト500」では、首都圏のみならず、全国の多様な企業が独自のアプローチで存在感を放っています。

【マモリノジダイは「ブライト500」認定企業にインタビューしています!】


記事をお読みのバックオフィス担当者の皆様も、ぜひ「ブライト500」を目標にしてみてはいかがでしょうか。

そのためには、まずは足元から。今回のセルフチェックは、自社の現在地を確認するためのリストです。「どの領域が弱いのか」「次に何を整えるべきか」を見つける材料としてぜひ活用してください。
そして何より重要なのは、継続することです。厚労省のメンタルヘルス指針、健康保持増進指針、治療と仕事の両立支援ガイドラインはいずれも、単発の施策ではなく体制・教育・職場環境・個別支援・見直しを含めた継続的な取組みを重視しています。

このセルフチェックリストが、自社のより良い健康状態に向けて現場と経営層がともに歩んでいく助けになれば幸いです。

参考資料

  1. 厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」 (厚生労働省)
  2. 厚生労働省「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」 (厚生労働省)
  3. 厚生労働省「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」 (厚生労働省)
  4. 厚生労働省「労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル」 (厚生労働省)
  5. 厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」および公表情報 (厚生労働省)
  6. 厚生労働省「長時間労働者への医師による面接指導制度について」 (厚生労働省)
  7. 経済産業省「『心の健康』投資・実践ガイド」 (経済産業省)
  8. 健康経営優良法人認定事務局「健康経営優良法人2025(中小規模法人部門)認定要件」 (ACTION!健康経営|ポータルサイト(健康経営優良法人認定制度))

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