悪い口コミで採用が止まる?会社ですぐにやるべき口コミ対策を解説
「自社の口コミがどうなっているか気になる」「もしネガティブな書き込みを見つけたら、どのように対応すれば良いのだろうか?」といった疑問や不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、会社の口コミを調べる方法や、万が一悪い口コミを発見した場合に取るべき適切な対応策、そして避けるべきNGな行動を詳しく解説します。
企業の評判を守り、より良い組織づくりと採用活動を推進するためにも、ぜひ参考にしてください。
目次
会社の口コミを放置しておくと何が起こるのか
インターネット上の会社の口コミは、今や企業評価や経営に直結する重要な要素です。これを放置すると、以下のような問題を招きかねません。
- 採用活動への悪影響(応募者の減少や辞退の増加)
- 取引先からの信頼低下
- 売上やブランドイメージの毀損
- 従業員の士気低下や離職
企業活動に影響を与えないためにも、早期の状況把握と口コミ対策が不可欠です。
会社の口コミを調べる方法
口コミは、求職者向けサイトから日常的なコミュニケーションツールまで、インターネット上の様々な場所に存在します。
効果的な調査のためには、複数の情報源を定期的に確認することが重要です。ここでは、代表的な口コミの調査方法を解説します。
転職サイト
転職活動を行う多くの求職者は、企業のリアルな情報を得るために転職サイトの口コミを参考にします。そのため、転職サイトに書かれた内容は、採用活動に直接的な影響を与える可能性が高いです。
転職サイトによっては、現職の従業員や過去に在籍していた従業員からの、給与、労働時間、社風、人間関係、福利厚生などに関する具体的な書き込みがあります。
調査方法としては、まず各サイトにアクセスし、自社の企業名で検索してみましょう。登録されている場合は、企業ページに寄せられた口コミの一覧を確認できます。
どのような点が評価され、あるいは問題視されているのか、具体的な意見を把握することが大切です。一度確認するだけでなく、定期的にチェックしましょう。
SNS
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)も、企業の評判を知るうえで見逃せない情報源です。
企業名や商品・サービス名、関連するキーワード、あるいは特定のハッシュタグ(#会社名 など)で検索することで、ユーザーの「生の声」を拾い上げられます。
転職サイトのような形式ばった口コミとは異なり、より日常的な、率直な意見や感想が投稿されている可能性があります。ポジティブな話題だけでなく、時には批判的な意見やクレームが投稿されることもあるでしょう。
これらの情報は非常に速いスピードで拡散される恐れがあるため、注意が必要です。炎上などのリスクを早期に察知するためにも、SNS上の評判を定期的にモニタリングすることは、現代の企業にとって不可欠と言えます。
Googleマップ
Googleマップも会社の口コミが集まる場所のひとつです。主に店舗や施設を持つ企業に対して顧客がレビューを投稿する機能ですが、本社や支社の情報に対しても口コミが書かれることがあります。
顧客からのサービスに対する意見、オフィスへの訪問者からの感想、場合によっては従業員や元従業員と思われる人物からの書き込みが見られることもあります。
Googleマップのレビューは、Google検索結果に直接表示されるため、多くの人の目に触れやすいのが特徴です。口コミに対して適切に行動するためにも、レビュー欄を定期的にチェックしましょう。
悪い口コミを見つけたら?企業が取るべき3つの対応策
自社に対する悪い口コミを見つけた際には、まず冷静に状況を受け止め、客観的に分析することが重要です。感情的な対応は、かえって事態を悪化させる可能性があります。
ここからは、悪い口コミを見つけた際に企業が取るべき3つの対応策を紹介します。
- 誤情報がある場合は削除申請を検討する
- 返信機能があれば、冷静・誠実に対応する
- 改善すべき点があるなら社内で対策を取る
それぞれ見ていきましょう。
誤情報がある場合は削除申請を検討する
口コミの内容が、明らかに事実無根の虚偽情報であったり、個人情報やプライバシーを侵害する内容、あるいは名誉毀損にあたるような悪質な誹謗中傷であったりする場合、その書き込みの削除をプラットフォーム運営者に申請できる可能性があります。
通常は報告フォームなどから具体的な理由と共に申請を行います。ただし、単に「自社にとって都合が悪い」という理由だけでは削除は認められないケースが多いです。
客観的な証拠を示し、規約違反であることを具体的に説明する必要があります。削除が認められない場合や、より深刻なケースでは、弁護士に相談して法的な対応を検討することも選択肢のひとつです。
返信機能があれば、冷静・誠実に対応する
口コミサイトやGoogleマップなど、企業側から返信できる機能が備わっている場合は、それを活用することが有効です。
とくに、事実誤認に基づく批判や、誤解から生じている不満に対しては、丁寧な返信が良い効果をもたらします。重要なのは、感情的にならず、冷静かつ誠実な態度で対応することです。
まずは、口コミを投稿してくださったことへの感謝を伝え、指摘された内容について真摯に受け止めている姿勢を示しましょう。そのうえで、誤解がある部分については具体的な事実を丁寧に説明します。もし企業側に非がある場合は、率直に謝罪し、今後の改善策などを具体的に提示できると、他のユーザーが見た際の信頼回復にも繋がる可能性があります。
一方的な反論や言い訳と受け取られないよう、言葉遣いには細心の注意を払いましょう。
改善すべき点があるなら社内で対策を取る
すべてのネガティブな口コミが、虚偽や悪意によるものとは限りません。中には、耳の痛い内容であっても、企業の課題や改善点を的確に指摘しているものもあるでしょう。そのような口コミは、自社のサービスや労働環境を見直す貴重な機会と捉えるべきです。
まずは、指摘された内容が事実かどうかを社内で調査・確認します。もし改善すべき点が明らかになった場合は、原因を分析し、具体的な対策を立案・実行に移しましょう。
たとえば、特定の部署の対応に関するクレームであれば、該当部署で情報共有し、業務フローの見直しや研修の実施などを検討することが考えられます。
口コミを真摯に受け止め、具体的な行動で応える姿勢を示すことが、根本的な問題解決と将来的な良い口コミの増加につながります。
やってはいけない口コミ対策とは?
会社の評判を守りたい、良くしたいという思いから口コミ対策に取り組む際、良かれと思って取った行動が、実は逆効果になってしまうケースがあります。
企業の信頼を損ないかねない、避けるべきNGな口コミ対策について具体的に解説します。
「とにかく削除」は逆効果になることも
ネガティブな書き込みに対して、内容を問わず「とにかく削除申請を繰り返す」という対応は、危険な場合があります。
明らかに事実無根の誹謗中傷であれば削除申請は正当な手段です。しかし、従業員や顧客からの正当な批判や、改善を求める意見まで削除しようとすると、企業が「不都合な情報を隠蔽しようとしている」と受け取られかねません。
このような姿勢は、他のユーザーの不信感を招き、批判の声が集まる、あるいは別の場所でさらに拡散されるといった事態を招く恐れもあります。
社員に書かせるのはNG?ステマと判断されるリスク
良い口コミを増やしたいという考えから、従業員に対して自社を称賛するような口コミを書くように指示したり、インセンティブを与えて投稿を促したりする行為はNGです。
これは「ステルスマーケティング(ステマ)」と呼ばれる、消費者を欺く行為にあたります。
一見すると手軽に評判を高められるように思えるかもしれませんが、そのリスクは計り知れません。不自然に肯定的な意見ばかりが並んだり、似たような表現の口コミが短期間に集中したりすると、ユーザーは不審感を抱きます。
もし、企業が意図的に口コミを操作していることが発覚すれば、社会的な信用が落ち、炎上や不買運動につながる恐れもあります。
社内で隠すのではなく、開かれた対話を
ネガティブな口コミを見つけても、経営層や関係部署に報告せず、担当者レベルで隠したり軽視したりするのは避けるべき対応です。
問題を共有しないまま放置すれば、業務改善の機会を失い、社内の不満や顧客の離反を招く可能性があります。たとえ厳しい指摘でもオープンに扱い、社内で改善策を検討することが、信頼回復と持続的な成長につながります。
ネガティブな口コミを減らし、良い口コミを増やすには?
悪い口コミへの対応も重要ですが、より根本的な対策は、ネガティブな口コミが生まれにくい環境を作り、自然とポジティブな声が集まるようにすることです。
単なる評判管理にとどまらず、企業組織そのものをより良くしていくプロセスと言えます。ここでは、組織運営と広報の両面から、具体的な取り組みを見ていきましょう。
日頃の社内コミュニケーションがカギ
ネガティブな口コミの多くは、従業員の不満や会社への不信感が根底にある場合があります。こうした不満が大きくなる前に、従業員が本音を話しやすい、風通しの良い職場環境を築くことが大切です。
たとえば、上司と部下が定期的に1対1で話す「1on1ミーティング」の実施や、匿名の意見箱・社内アンケートの活用などが考えられます。部署間の交流を促すイベントなども有効です。
従業員が「自分の意見が尊重されている」「会社は自分のことを見てくれている」と感じられる環境があれば、不満が蓄積しにくくなります。結果として、エンゲージメントの高い従業員が増え、それがポジティブな口コミに繋がる可能性が高まります。
辞めた社員からの声にも向き合う
不満を持って会社を辞めた場合、その元社員がネガティブな口コミを投稿する可能性があります。
このような事態を避けるためにも、退職が決まった社員に対して、退職理由や在籍中に感じていたことなどを丁寧にヒアリングする「退職時面談(エグジットインタビュー)」を実施しましょう。
ここで得られた意見や指摘に耳を傾け、改善できる点があれば積極的に取り組みます。
たとえ退職する社員であっても、最後まで丁寧に対応し、フィードバックを活かす姿勢を示すことで、会社に対するネガティブな感情を和らげ、悪評が投稿されるリスクを低減できます。
ポジティブな声を自然に増やす仕組みを作る
良い口コミは、従業員が自社に対して満足感や誇りを感じている時に、自然発生的に生まれるものです。従業員が「この会社で働けてよかった」「知人にも勧めたい」と心から思えるような環境づくりを目指しましょう。
具体的には、公正な評価制度や明確なキャリアパスの提示、スキルアップ支援、充実した福利厚生、ワークライフバランスへの配慮などです。従業員一人ひとりが働きがいを感じ、成長を実感できる職場であれば、従業員満足度(ES)は向上します。
満足度が高まれば、現職社員が良い口コミを投稿したり、知人・友人に自社の魅力を語ったりする機会も自然と増えていきます。
採用広報としてオウンドメディアやSNSを活用
口コミサイトの情報だけに企業の評判を委ねるのではなく、企業自らが積極的に情報発信を行うことも重要です。自社のウェブサイト内に設けるブログ(オウンドメディア)や、公式SNSアカウントなどを活用し、採用広報の観点から企業のリアルな姿を発信していきましょう。
たとえば、社内の雰囲気、働く社員のインタビュー、具体的な仕事内容、企業文化、福利厚生、キャリア支援制度などです。写真や動画を多く取り入れると、より魅力が伝わりやすくなります。
企業側からの透明性の高い情報発信は、求職者の企業理解を深め、口コミサイトの情報だけではわからない企業の魅力を伝えられます。
まとめ
会社の口コミは、採用活動や企業ブランドに直接的な影響を与えます。転職サイトやSNS、Googleマップなどを活用して自社の評判を定期的に把握しましょう。
もしネガティブな口コミを発見した場合は、冷静な対応が求められます。内容に応じて削除申請を検討したり、返信機能で誠実な姿勢を示したり、社内で改善策を講じたりすることが重要です。
根本的な対策としては、日頃から社内コミュニケーションを活性化させ、従業員満足度を高めることです。併せて、オウンドメディアなどを通じて企業自らが積極的に情報発信を行い、良い評判を育んでいきましょう。
関連記事
-
男女雇用機会均等法はいつできた?罰則や改正案もわかりやすく解説
「男女雇用機会均等法」という法律の名前を知っていても、その中身について詳しくわからないという経営者や人事担当者も少なくないでしょう。
その結果、知らないうちに法令違反をしていた、という事態に陥っていることもあり得ます。
この記事では、企業としてそのようなリスクを負わないために、男女雇用機会均等法の概要や、禁止されていることなどについてわかりやすく解説していきます。
-
風評被害の意味とは?原因と企業が取るべき対策をわかりやすく解説
企業の信頼や売上を一瞬で揺るがすのが風評被害です。とくに中小企業にとっては、ひとたび悪い噂が広がるだけで、経営に大きな影響を及ぼしかねません。
この記事では、「風評被害」の正しい意味から原因、実際の事例、そして中小企業が取るべき対策までをわかりやすく解説します。事前の備えが、万が一のときに企業を守る力になるため、風評被害への理解を深めておきましょう。
-
事例から学ぶ!中小企業におけるコンプライアンス違反の落とし穴と対策
「知らなかった」では済まされないのが、企業におけるコンプライアンス違反です。とくに中小企業では、大企業に比べて専門部署や担当者の設置が難しく、意図せず法令や社会規範に抵触してしまう「落とし穴」が潜んでいます。
しかし、コンプライアンス違反は企業の信用失墜だけでなく、個人にまで法的責任が及ぶ可能性もあるのです。
この記事では、実際に中小企業で発生したコンプライアンス違反の事例を基に、どのような「落とし穴」があるのかを具体的に解説します。また、限られたリソースの中でも実践できる効果的な対策を、事例と関連付けながらご紹介します。
-
みなし残業は何時間まで?45時間を超えたら違法?中小企業の注意点まとめ
働き方改革の一環として、残業時間の削減や労働時間の効率化が求められる中、「みなし残業」という制度を導入する企業が増えています。
みなし残業とは、あらかじめ一定時間分の残業代を給与に含めて支払う制度であり、企業にとっては残業代計算の効率化や人件費の安定化がメリットです。
しかし、みなし残業時間の設定や運用方法によっては、従業員のモチベーション低下や訴訟リスクの増加といったデメリットも生じます。
この記事では、みなし残業の仕組みや注意点、とくに中小企業が導入する際に気をつけるべきポイントをわかりやすく解説します。
-
コンティンジェンシープランはどう策定する?中小企業で実践する策定ポイント、サンプルなど
自然災害やシステム障害、サプライチェーンの断絶、キーマンの退職による属人化した業務のストップなど、企業を揺るがす突発的なトラブルは、規模の大小を問わず発生します。特に中小企業は人員や資金に余裕がない分、一度の危機が経営存続に直結しかねません。
そこで重要になるのが「コンティンジェンシープラン」です。これは「“もしもの事態”が起きたときに、どのように対応し被害を最小限に抑えるかをあらかじめ定めておく計画」を指します。
本記事では、コンティンジェンシープランの基本から、BCP(事業継続計画)との違い、実際の策定ステップ、さらに業界・部門別のサンプルまでを解説しますので、参考にしてください。

マモリノジダイとは
会員登録






